音楽のことなのかどうか、子供のことかなと思いつつ、とりあえずこちらのカテゴリーに分けました。
 息子の通っているミュージックスクールで、バンド演奏の発表会があった。
 毎年、クラシックとしての発表会はやっているようだが、今回は初めての試みだったらしい。
 教室側からの案として何曲か、曲名を先に書いておき、自分が演奏したい曲の、演奏できる楽器の欄に、名前を書き、前日と当日だけ皆で合わせてリハーサルをする。そして本番。つまり、顔も知らない者同士、普段はそこのミュージックスクールで、顔も合わせない者同士、バンドを組んでみるということだ。
 昨年5月にドラムを始めてから、息子が叩いている様子は、普段見ないので、是非参加してほしくて曲名を見ると『上を向いて歩こう』くらいしか、息子は知らない。発表会まで、あと約1か月。でも、声をかけると、やってみると言うので、先生に伝えた。
 8ビートもたたけるので、もう一曲くらい練習できると良いねと先生も言っていたが、まだ決まった曲しかできないし、ウチにドラムセットはないし、ドラムセットがないと、どうも練習する気が起きない息子なので、結局その一曲だけになった。
 それでも、そういう発表会に出るというのは、息子にとって初めてのこと。私は母にピアノを習っていたが、自宅での発表会以外に、そういう会に出たことがない。母が教えたヴァイオリンの生徒さんたちのために、進行係として、裏でマイクの前で原稿を読んだことはあるが、それくらいだ。私が何故こんなに人前に出ることがいやなのかわからないが、そういうものには、極力出たくなかった。人前に出るのがいやだった。確か、幼い頃は違ったはずなのに、帰国してからなのかな、自分のアピールの仕方、程度が調整できなくて、具合がわからなくて、とにかくただただ目立ちたくなかった。なんでもかんでも、その他大勢にまぎれることを自ら選んだ。
 でも、息子は違う。できることがあれば、やってみたいと言うし、そのためなら練習もする。僕はこれができるんだということを見せてくれる。今回のドラムも、いやがらずに練習していた。
 前日のリハーサルの時には、お互いの顔を合わせ、何回か練習した。教室を開け放していたので、待合室から丸見えなのだが、さらにその前日から「緊張する」と繰り返していたように、息子はマフラーもコートも脱がず、口を半開きにしたまま、ドラムをソッとたたいていた。何故ソッとたたくのかわからないんだけど。何回かたたいているうちに、少しずつ音は大きくなっていったのだが、いつも受付で顔を合わすサックスの先生が「緊張してる〜。」と笑っていた。ドラムの先生は「そうかあ、この子はプレッシャーとの闘いかあ。」と笑っていて、これで皆に、息子の性格もよくわかってもらえたと、私はむしろ安心した。息子の持ち味でもある。真面目だし、緊張してかたくなりやすい。もちろん私は欠点と思っていない。「そういうところのある息子」というのをわかってもらえた方が、相手も今後、つきあいやすいというものだ。