今回は、非常に下らない内容ですが、わざわざ二回に分けて書きます。いつもの年末年始のこと、そして今回の年始にあったことです。
 前回の年末年始も、私の実家に行った。
 私は実は、お節料理が結構好きだ。子供の頃は、あまり好きではなかった。だて巻きと、黒豆、母がよく買ってくれるテリーヌくらいで、他の物は、関西の物でさえ味が濃く感じて、甘いだけ、辛いだけ、と思っていた。それに引き換え、お雑煮の味が薄すぎる気がして、それもそれで好きではなかった。
 お節料理を食べる時の雰囲気も、あまり好きではなかった。「明けましておめでとうございます」と、普段言わないような挨拶をして、何を喋って良いかわからない雰囲気の中、自分だけが会話に加われない気がして、何となくモゾモゾしているうちに、自分の皿に乗せたお節料理、そして中でもだて巻きがどんどん減ってしまい、もっとゆっくり食べなくちゃ間が持たない、ゆっくり食べる術を身につけなければ、と時間を持て余したものだった。
 そのうち、あれが好きになり、これも好きになり、と食べれる物が増えていって、今はどれも一口ずつは食べないと、と欲張りになっている。お雑煮も、丁度良い味。
 母のお節料理はもちろん好きなのだが、私の実家に行けなくて札幌にいたらいたで、イズシ(飯寿司)が好きだ。ホッケやにしん、カレイなどの魚と、ご飯、米麹、野菜とを漬け込み、乳酸発酵させた料理で、北海道に行って初めて味わった。お雑煮の餅は四角くて、おつゆは味噌味。今住んでいる所のお節料理がどんなか知らず、とりあえず「こづゆ」というのがあるらしいけれど、アメリカに住んでいる時も、日系の食材店で、あれこれ買って、少し関西風のお正月気分を味わった。
 そんなわけで、私はお節料理を食べるのを楽しみにしている。まず、今はそんなに「話さなくては、上手に会話をしなければ」とか思わない。別に黙っていたって、自然にしていれば良いと気付いたのもある。
 そして料理を目でも楽しむ。実家に行くと、息子が、おじいちゃんおばあちゃんとお喋りできるのをとても楽しみにしているし、滅多に会えないいとこと、すぐ馴染んで遊んでいるのも、とても楽しそうで、親戚づきあいがそれなりにあった私としては、少しはこういうことを楽しんでほしい、大事にしてほしい、と思うのだ。大人になってから、素敵な思い出があるということ、色々な大人がいるということ、自分の住んでいる土地とは違う風習や環境を知ること。全部大事だと思っている。時には面倒くさかったり暑苦しかったりするものであっても、それに助けられることが多いこともわかってほしい。