息子は、「観察して、色々記録したら逃がす」と言って、勉強部屋にカゴを持って行って、ドアを閉め、部屋にこもった。
 どうやら、机の上にかごを置き、観察を始めたらしいのは良いけれど、部屋の中から「背中が恐ろしい〜」「背中が怖い〜!」とか言っているのが聞こえてきた(笑)。「恐ろしい」なんて、普段使わないような単語を連発している息子だったが、しばらくすると、「僕の描いた絵が恐ろしい〜〜!」と聞こえてきた。自分で描いておいて何なのだ。
 そのうち「気持ちわりぃ〜!」「気持ち悪いよ〜!」「気持ちわり〜〜!!」という声が何度も聞こえてきた(笑)。大丈夫か、息子。そこまでして観察したいのか?
 でも、しばらくして静かになり、「できたよ〜」と、絵を持ってきた。絵がリアルに描けない息子の絵は、気持ち悪くなくて、じっと見ることができた。
 そして、バッタの何の種類なのか、細かく調べようと、私がネットでバッタの図鑑のページを開くと。
 「……!!」
 すごい……。私にとっては衝撃映像の連続である。虫たちがアップで、目を覆いたくなるような気持ちの悪い写真が続々と出てきた。そして、「気持ち悪い〜〜!!」と言いながら一生懸命調べていると、ダンナに「親子そっくりじゃないか」と笑われた(笑)
 どうしても耐えがたくなって、もう自分で調べてもらう!!と、一旦ページを閉じたが、どうしてもその種類が何なのか気になったので、また気合いを入れて開き、薄目にして見ることにしました。焦点を合わさないように、ぼんやりと見るようにして。
 ダンナは、爬虫類より虫の方がマシだと言う。私は、こうやって写真とかアップで見るなら、まだ爬虫類の方がマシだわ〜。蛇のアップなんて、気持ち悪いけど、虫と比べたらどうってことない。アマガエルなんて、可愛いくらいだ。まあちっちゃいからですけどね。大きいカエルはいやです。アマガエルは、手の平に乗せるとぴったりとした感じで手足をはりつかせるのすら可愛い。ヤモリもイモリも、ウチの中にいたら、それなりにびっくするけど、「わっびっくりしたー」で終わりだ。でも。虫は耐えがたい!!!!!!一緒の部屋にいるのもいやだ。落ち着かない動きが、羽音が、羽の透明がかったペラペラした感じが、脚のあの角ばった節、そしてケバケバした部分が、細長い触角が、脚と胴体との太さのバランスが、目だけが大きい顔が、胴体のしましまが。とか言うと「人は、嫌いな物に関しては、何て詳細に表現できるのだろうねぇ。」と、ダンナは感心している。
 地元の人が「え〜虫が嫌いなの〜?実家なんか、カメムシだらけだよ。」と言うので「えっ、それはどうやって対応しているんですか?」と聞いたら、笑いながら「同居だよ同居。共存しながら暮らすの。」と言っている。頭を抱えたくなった。私も軟弱者になったものだ。
 結局、息子と一緒に、薄目になりながら、呼吸困難になりそうになりながら、頑張って写真を見ました。どうやら、キリギリスに似ていると思い、そこをもう一歩調べてみると、ツユムシに近いようだ。
 しかし、それがわかった頃には、私は息切れがしてきて、全身、汗ビッショリになった。
 何でこんなにも苦手になっちゃったかなあ〜。息子は今後も虫を観察するために捕ってくるのかなあ。まあ、それほど虫が好きじゃないようだから今回のような思いをすることは滅多になさそうだけど。部屋に大きめの虫がいて、私が「ギャー!」と気味悪がっていると、とりあえず、外に出すなり、退治してくれる息子です。ありがとう。