何故、女性は、大好きな仕事があったとしても、身を任せきれないのか。主婦になっても、仕事をしていても、美しくいたいと願うのか。話は、最初の頃に随分戻ってしまった。
 「やっぱり若い女性が、生物学的に求められるから、年をとってもまだそういう対象でいたいと思うのは自然なことなんじゃないの?」
 「……。」うーむ。確かに。
 でも、中年期以降の女性に、男性側はそういうのを求めていない人も多いわけだよね。だけど、女性は、その若いピチピチした頃が基準だから、いつまでもそうしたい。
 待てよ。
 「求めていない」「求めている」って何だ?
 女性は、男性や或いは同性でも他人が‘何を求めているか’が基準なのか?男性は、自分が何をしたいかが基準ではないか。いや、女性だって、何をしたいかを考えているよね。お互い、何をしたいか考えながら、何を求められているかも考えているのかな。
 ああ。わからない。
 さらに私は頭を抱えてしまった。
 男性だって、自分の本当にしたいことを仕事としている人は、多くはないだろう。だけど、女性に至っては、さらにその中の一握りなのではないだろうか。
 女性は、奥さんとしての役割、母親としての役割を求められる。そして、それに応えようとするのが、当たり前になっている。そうでない女性は、何と!魅力的と思えない自分がいる!ナンだこの矛盾!魅力的ではないと思うのは、世間の目だけではない。私もそうなのだ。
 テレビでタレントを見ながら「この人、いつまでもキレイだよね。でも、ちゃんと料理やってるんだって。」或いは「掃除が好きなんだって。」「子供がいるんでしょ。」とか、そういうことを基準にその人を見てしまっている。それがエライのか?でも、森三中の大島なんか、コロコロが大好きなだけで、家事が好きではないと言うではないか。でも、ダンナに愛されている。世間的にも面白い、女性芸人の中でも認められている。面白いだけじゃないぞ、恥じらいもなく本気で身体を張れる、女性芸人の中でも珍しい存在だ。そして、見ていて可愛いと本気で思うことがある。彼女の中に、女性の生き方のヒントが詰まっていそうだぞ。彼女には、迷いがない。まっすぐで、生きることに対しても、すごく真摯であると思われる。まだ30代前半だからか?
 そうやって「女性が求められていること」を考えていくうちに「役割」について考えるようになった。女性は、結婚したら、妻としての役割を要求される。子供ができたら、母としての役割を要求される。男性は?ダンナとしての役割って何よ。結婚前から続けている仕事があるとして、結婚したからと言って、その仕事に突然変化が表れることもなければ、生活が変わるわけでもない。一人暮らしだった男性にとって、結婚することで家事の負担は減るわけだ。実家から会社に通っていた男性なら、少し家事の負担は増えるかもしれない。奥さんが完璧に家事をやってくれる人ならともかくも、現代社会において、夫の方も多少なりとも手伝うのが当たり前だろう。だけど、まあ多少だよね。生活面において、多少、変化するくらいだ。女性は結婚すると、ほぼ間違いなく、家事の負担が増える。それが、奥さんの役割だからだ。でも、それを「奥さんの役割」と思っているのは、世間がつくり上げてきたものだろうか?