息子がwii musicのドラムレッスンにハマった時期があった。
 うまくいかないと、ひっくり返って泣いた。「ちゃんとやってるのに、できない!!」と、キーキー叫びながら。「ゲームでしょ!そんなにキーキーするんだったら、ゲームやめて!」と怒る私だったけど、それでも息子は頑張って続けた。
 右手と左手をバラバラに、ピアノの演奏をしていた私にとって、足もバラバラに、というのは、もっと簡単なことだと思っていた。
 そして、息子は8ビートを刻めるようになった。両手、両足を使って。
 ドラムは、音楽を聴きながらたたくことはできても、自分がリズムを取って、それを保ち続けるのが難しいそうだ。多くの人がそこで行き詰まると言う。
 そうなったらそれはそれで仕方がないだろう。
 でも、今の息子は、夢中だ。
 初めての体験レッスンの時、息子は緊張して、か細い声で返事をし、オナラをして笑い、私の顔を時々伺って遠慮気味に先生と話をしていた。でも、ドラムをたたく時は、まだ身体が小さくて、ドラムの中に埋もれそうながらも、顔つきが変わって、夢中になっている様子だった。本物はすごく音が大きいので嫌がるかなと思ったが、息子はレッスンを終えて「毎週来たい!」と言った。楽器に関しては、うまくいかなくてイライラしたり、先生が厳しかったりすることもあるよと話し、それでも良いかとも確認した。
 先生に「以前やっていたことあるんですか?」と言われて「いえ、ちょっとゲームで。」と言ったが、wiiに熱中して……とは、とてもプロの先生には言えずじまいだった。
 そのうち、飽きたらそれまでだけど、今は好きなだけ続けたら良い。
 3歳の頃、楽器屋に行くと、延々ドラムをでたらめにたたき続けていたことを思い出す。その後、ドラムスティックだけ買ってあげて、段ボールに平べったいゴムを何枚か貼って、そのドラム欲を満たしてもらっていた。その手作りお粗末ドラムが、既に3枚目もボロボロ。次はこんな風に貼ってほしいとリクエストが入った。
 そして先日、楽器屋の前を通りかかったので、息子が「試打してみたい」と言う。店のお兄ちゃんが、ドラムスティックを持ってきてくれて、息子がリズムを取りながらたたいてくれた。何のメロディもメトロノームもなく、ただひたすら良いリズムでたたいていたのを見て、カップルが何組か立ち止まって微笑んで聴いてくれていた。息子があまりに楽しそうにたたくので、夫が「いつもそんなに楽しそうなのかい?」と聞いていた。お店のお兄ちゃんが感心してくれた。
 意外と続くかもしれないぞ。
 もっと続けても、まだまだ好きだったら、ドラムセットを買ってあげようかな、と話している。ただ、ウチはアパートなんだよねぇ、音が大丈夫かなあ。電子ドラムにしても、 踏み込む時に、下にドンドンとうるさくないかなあ。あと、遊ぶスペースはなくなるねぇ(笑)。色々心配事はある。とりあえず、1年後位を目安に考えてみようかな。