そして、次に、自分が何を考えたのかと言えば、「女の人って何?」だった。
 そう、ここでも書いたように、私はそこそこに可愛らしい女の子だった。10代〜20代は、若い女の子というだけで、色々甘く見てもらえる機会がある。大学を卒業して社会に出ても、随分上の地位の人から気に入ってもらい、かまってもらうことで、仕事に関しても目をかけてもらえるような、得をしていたと思う。バイトやパートの時もそうだったし、事務職をしていた時も、たくさんひいきしてもらった。仕事をしっかりしてさえいれば、精神的に随分助けられた覚えがある。軽いセクハラも受けたけど。オエ。
 プライベートでもそう。女子は色々と負担が軽い。同い年でも男の子は頑張っておごってくれたりする。色々素敵な言葉もかけてくれる。ただ歩いているだけでも、声はかけられる。チラ見される。車のバックミラーからでさえ、すんごい誘ってくる子を見たことがある。ウエ〜気持ち悪い。食傷気味になるくらいだ。過去の私、贅沢者!今となっては少し羨ましいかも!?(笑)オシャレにある程度、気を配っていれば、恋心に不自由することはまずない。もちろん、好きな男の子に振り向いてもらえないとか、避けられちゃったとか、そういった類の失恋などはあるけどね、でも、何ていうか、いつだって恋をする権利が、「世間的に」あった。そう、しつこいけど、私はそんな「わあキレイ」「可愛いねぇ」とか「オシャレだよね」「センス良いよね」とか、格別ではありません。例えば、大学内の「ミス○○(大学名)」に出る子も選ばれる子は、格別だったし、出ていなくてもキレイな子はたくさんいた。そういう子たちはスタイルも良く、顔も端正で化粧も上手。声をかけてくる男の子も、オシャレで女の子の扱いに慣れていてスマート(まあそういう男性は好みじゃないんだけどね。むしろ嫌悪感を覚えてしまう。何様だ私)。私はそこに至らないその他大勢です。化粧っ気は「一応してるよ〜」っていう程度の最低限だしね。でもその他大勢でも、そんな良い目に遭えるのが、若さなのだ。いや、全然そういう経験のない子もいるかもしれない。でも、若い女性ってだけで、一度や二度、何か見逃してもらえたとか、甘やかしてもらった思いをしたことはあるのではないだろうか。
 そして、そういう甘やかされた思い出を引きずりつつ、30代に突入する。
 30代に入っても、まあまだスキがあれば、男の人は声をかけてくる。「今日、ナンパされちゃった」と、30代前半は、もう30代なのにーと、ビックリするような、それでいてちょっぴり嬉し恥ずかしなこともあった。偏った好みの人だったのだろうか(笑)。ただ、20代の頃は「自分にスキがあったのか」とか「好みでもないチャラい男の子に声かけられて、プライド傷付く!」とか思っていたのが、30代になると滅多にそんなこともないので、たまにあるそんなことが、何だか大ごとになって、嬉し恥ずかしなのだ。「嬉し恥ずかし」の時点でもう、20代と違うんだけどね。
 ところがです、ナンパだのどうだの、そういったことだけじゃなくて、それ以前の、もっと日常的なささいなこと、街でティッシュやチラシなどを配っているのも、少しずつ「この人ではない」といった感じで、避けられるようになってくる。男の子たちに声をかけられている女の子を横目で見ながら「ああ、こういう立場から抜け出せて良かった。傍観する側にいられて安心」とは思ったものの、少しずつこういう年齢から離れているんだなあとは思い始めるようになる。