さらに、私の好みの服が多く置いてある店に行って、「可愛い」と思う服を胸にあてた時、何か違和感があった。
 ……あれ???
 こんなに可愛いし、この色合いは、今まで持っている服のことを考えれば似あうはずなのに、鏡に写っている自分に対する違和感。この変な感じは何?
 形が似合わないのかな。模様?いや、サイズかも。
 色々考えてみたが、結論は「若い子向きだから」だった。サイズは合ってます。形だけを見てもおかしくはない。色合いだけを見てもおかしくはない。でも、この形と色合いの組み合わせ。大胆な模様。「これは、可愛過ぎるんだ」と気付いた。多分若い頃には似合っていたであろうその服が似合わない、というのはショックだった。店員が強く勧めてこない気持ちもわかってしまい、それもまた小さなショックだった。そう、うすうす自分の立場には気づいていたので、大きなショックはないんですけどね。
 そして、ステージ上では、男性として見てしまう、恋心すら持っている奥田民生のことを思い出す。彼の好きな女性タレントは、ちょっと個性的だったり、外国の匂いのするタイプ、と私は勝手に思っている。彼が、大好きだった小泉今日子は、個性が強くて毅然としていたし、「気に入っているらしい」と噂だったパフィー大貫亜美は帰国子女で、可愛くて甘えた雰囲気もあったけど決して媚びない子だった。彼が絶賛していたらしい木村カエラは外国人の血が入り、個性的でありながらニコニコ可愛らしく、自分のスタイルを崩さない、自分の軸がしっかりした子である。皆、サバサバしていて色気はあっても媚びない子たちだ。まあ、彼が一時大好きだったさとう玉緒は、そのカテゴリーでは分析できないけど。
 そういったことを考える時に、やっぱり男の人は、若くて可愛い子が好きなんだと実感してしまう。。しまう。うー。うー!!
 初めて、アラフォー以上の女性タレントが「何よ、若い子の方が良いんでしょ」と口にすることに対して、心から共感できた。「そんな嫉妬しないでも、その年相応の良さがあるのに」と、ずっと思ってきていた。38歳になる頃もまだそんな風に思っていた。何もそんな風に言わなくても、若い子には若さがあり、可愛いのは当たり前だし、年を重ねてきても、シワがあっても、キレイな人はキレイで良いじゃない、とか気楽なもんで。
 ところが、今の歳になって、厳密に言えば、若さに対する嫉妬というのではないと気付いた。羨ましいとは思う。でも、年を重ねていくことの寂しさというか、皆の心が離れて行くことに対して、色々思いを馳せてしまう。私だって昔はそうだったわよと、笑いながら声高に主張する女性タレントたちを見て「わかるわかる」と共感する。初めて真剣に直面する「ああ、もう若くないんだ」という実感を、何とか笑いに変えているのだ。その切実な思いに気付いた。皆、チヤホヤされている若い女の子たちよ、それは「若いから」そうなのよ、そのうち、気が付いたらそんな立場にはいないから、世間や男の人なんてそんなものよという、多少呆れたような投げやりにもなる気持ち。そうだね、厳密に言えば嫉妬心ではない。忠告だったり、世間に対する批判だったりするのかもしれない。
 この頃を抜けたらもっと余裕を持ってさらに何歩も離れたところから、こういった現実を、眺めることができるだろう。そして、きっとこの時期を経ないといけないのだろう。いけないっていうか、経ずにはいられないだろう。若い子とは違うというのが、漠然としたものではなく、しっかりとした現実としてつきつけられる感じ。