「幼い子にしたら、20代後半はもうオバさんだよねぇ。」「子供の年齢からして、30代ってオバさんなんだよねぇ。」というのは、○○にとっては、という前提がある。でも、ふと、そういう前提なしに、自分は世の中で「オバさん」という位置にいると気付いたのだ。
 独り言が多いとか、外にいてもつい鼻歌を歌ってしまうとか、店員や受付の人に気軽に質問したり、会話したりできちゃうとか、失敗しても、10代や20代の頃ほど恥ずかしさを感じないとか、そういう、オバさんとして象徴される出来事の問題ではない。実年齢として、身体の中身からして「オバさん」なのだ。
 それを立て続けに実感する機会があった。
 一番最初のきっかけは、行きつけの美容院にあった。「ここの美容室のブログを、店員で始めたので、見て下さい」と言われて、アドレスを書いたメモをもらった。「へぇそうなんだ。どんな風なことを書いているのかな。」と興味本位でのぞいたら……。そこには、カットやパーマをし終えたところの、たくさんの女性が写っていた。皆、そこの客ということだった。私は、特別な美貌は持ち合わせていないが、若い頃はそれなりに可愛らしく、よく声もかけてもらった。なので、そこに写っている客たちを見て「アラ。どうして私は声をかけられなかったんだろう。私も長く通っているし、素敵にカットしてもらっているのに。」と、本気で思ってしまった。そこで気付いた。
 ……!!……皆、若い。
 私よりざっと20歳位は下のようだ。ふと自分のことを思い返す。若い頃、美容院を選ぶ時に、オバさんが写っている写真を、チラシに載せているような所は避けていた。そうか、そうだったんだ!私、オバさんだから声をかけられなかったんだ!シワやシミも写るもんねぇ。とか思っていたら、さらに一人、とても可愛い女の子が、別のページに写っていた。これは誰がどう見ても、元気とはにかみを感じる可愛らしい女の子だと思った。それを見て今度は「可愛い……。私が20歳くらいでも、こうやって載せてはもらえないだろうな。」と卑屈な気持ちに陥った。結局、私はこういう所に載らない側なんだろう。自分を納得させて、そのページを閉じた。
 それから、急に自分の、若さではなく、老いに目が向くようになってしまった。私たちの親世代からしたら、若造が何を言っている!という感じだろう。でも、振り返ってみて下さい。皆、40前後から、自分の人生、先を、夢と希望だけでは語れないと感じるようになったのではないだろうか。若い人とは違うなあという漠然とした思いではなく、ハッキリと「もう若くはない。」と何かを、諦めていく気持ちになっていったのではないだろうか。
 こんなこともあった。旅先のコンビニにて、ホテルの部屋で夫と飲もうと、アルコール飲料を買った時、レジに「年齢確認して下さい」というような表示が出たのを、店員が、何のためらいもなく、当然確認もせず、有無を言わせないすごいスピードで、パンと画面をたたいて、次の画面へと進んだ。何もそんな速くたたかなくても……。
 そう言えば、アメトーークで「熟女好き芸人」として、集まった芸人の日があった。その時、夫と、笑いながら感心してしまったある芸人の言葉がある。「30代の女性は、まだまだ若さをあきらめていないから駄目です。40過ぎからが熟女の良いところです。」といったような内容だった。名言だ。今まさに、その言葉に共感できる。いや、熟女が好みとかいうんじゃなくて(笑)、30代はまだまだ若さをあきらめてませんね。39になる頃に、ようやく女性も、自分の置かれている状況に気づいてくるのだ。