20代は、食べ過ぎて体重が増えても、すぐ元に戻った。体型も維持できていた。セルライトと言われる身体のボコボコはなかったし、夜更かししても平気だった。夫と、各自の布団で、ただお互いに天井を眺めながら、延々喋り続けて、夜中3時半なんてことも度々。
 30代に入ると、夜更かしができなくなった。翌日が辛い。学生時代に、当たり前にできた運動機能も弱っている。若いタレントを覚えるのが面倒になった。それだけで「いやあ、若い頃とは違うんだなあ。」なあんて思っていた。
 が!40近くなると、そんなもんじゃあない。夜更かしができるとかできないとか以上に、ちょっと遅く寝ると、翌日の目の下がエライことになっている。笑うと、ポンと前に出ていたほっぺたが、あまりはつらつと出てこない。笑った時に、目の横に出てくるシワが、すんごいきめこまかい。肌がきめこまかいんじゃないのよ。シワがきめこまかい。ほうれい線がどうのではなくて、ほうれい線と目の下のクマの間に影ができている。鏡を見て、時々「わっ」と言いそうなくらいびっくりする。膝の上に崩れ落ちてくる脂肪と共に、太もものセルライトが、さらに迫力を醸し出してくれている。お尻は垂れてきたとかいう以上に、はりがなくて、ふにゃふにゃ柔らかすぎる。腹筋にはずっと自信があったのだが、くびれが減ってきた。なんか「胴です!」という強い主張を感じるようになってきた。ヤバイ!……若い子が時々使う、良い意味での「ヤバイ」じゃない。本当に「ヤバイ!!」。
 ……と、思い続けて、もう何年も経つ。特に改善もないのだが、とりあえず、そんなことより、健康を維持したいので、ウオーキングを心がけている。もはやそれが、今で言う中年、昔で言う初老(もうそれは良いって?)の考え方だ。体型や体重が、とか、肌のハリが、とか、もちろん問題なんだけど、とにかくそれ以前に、「健康維持のために」運動するのだ。30代前半までの考えとは明らかに違う。体重が増えて、なーんて別にもう大した問題じゃないのだ。長期的に1〜4キロの変動は、度々ある。でも脂肪や見た目がどうのより、胃の調子を整える方に神経を使うようになった。さらに、太ってしまっても、顔に肉がつかないから「あれっ、痩せた?」と言われるのも、段々ショックになってきた。「そう思うのは、顔を見て言っているんだと思う。顔にもう肉がつかないからね。」だってもう中年だからね!そして昔で言う初老だからね!(もう良いか)。
 ところで、とんねるずの番組で、年に数回の企画『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』というのがある。その番組で、私がとても気に入っていたのが、いとうあさこという女性芸人。昔のアイドルのバックダンサーのモノマネという内容で、私は大ウケでした。そして彼女は、その後、私が37歳の頃だったか、ショートネタ番組に出てきた。1歳年上の彼女のネタは、同じ年頃の女性が感じている、「若くはない」という内容の自虐ネタだ。それに爆笑している自分は、やはり同じ年頃なんだと感じた。だって、へぇその年頃ってそうなるんだー面白〜いとか、そうだったよね40くらいの頃は……とかいうんじゃなく、まさにドンピシャの共感の仕方。「そうそう、そうなのよね!」と思うから、爆笑になる。
 それでも、まだ37歳の私は余裕だった。
 そして、38歳になった頃も余裕だった。
 いや、身体的には、精一杯だったのだが、気分的には、余裕があったと思う。まだどこか、若い人の仲間だと思っている余裕というのかな。
 ところが、一気に「私、若くない。それどころか、本物のおばさんなんだ。」としみじみ実感してきたのが、38歳の半ば頃だ。