待望の春のはずなのだが、この突然の生温かさに、私の自律神経が安定しなくて、大体3〜5月の頃に、自律神経失調の症状が出てくる。急に温かくなるので、身体も自律神経もついていかないのだ。気持ち悪くて、メニエールの症状にも悩まされるのだが、まあ今となっては、この2か月間、用心していれば良いではないかと思う。今住んでいる土地の方が、一年を通しても、日によっても、その一日の中でも、寒暖の差が激しくて、厳しい気候という印象がある。札幌はその点、一番キツイのが、冬の寒さや雪ではなく、その2か月間なのだ。冬ももちろん、寒さも雪も厳しく、春を待ちわびるのだが、身体は、突然の春の気候についていかないみたいです。
 でも、そこを乗り切れば、梅雨が来て、そして夏が来る。
 ……はずだ。
 ニュージャージーではないのだから、梅雨の季節がやってくるのだと、心も身体も準備ができている。
 ところが。
 北海道には梅雨がない!スバラシイ!!
 関西では、うっとうしいと思う六月、七月、にめちゃめちゃ良い天気なのだ。寒くもなく、暑くもなく、湿度も低い。本州の皆さんには申し訳なくなるくらい、空が高く、涼しく、晴れ渡っている。関西で長く暮らしていた私にとって、それは秋の空と言いたいくらいに、澄んだ空気と、水色の空、すーっと流れる細い雲。
 七月の終わり頃に一週間〜十日位、蝦夷梅雨(エゾツユ)、というのが降るくらいだ。梅雨と呼ぶには短すぎて、そういう呼び方になるらしい。本当にその約十日間さえしのげば、ずーっと天気は良いのだ。ちなみに蝦夷梅雨の期間の雨も、関西の梅雨と比べたら大したことはない。長いどしゃ降りということが滅多にないのだ。しとしと降り続くなあといったくらいで、雷もあまり鳴らない。
 札幌に長く住んでみて、私はこの季節が一番好きだった。本当に気持ちが良く、すがすがしいのだ。
 しかし、この季節の良さを実感するには、少々時間がかかる。確かに外はそんな感じで気持ちが良いのだが、最初に住んだアパートは住み心地の良いものではなかったからだ。アパートを変えてから、ようやく、その季節の良さを、日々の暮らしの中でしみじみと実感できることとなる。部屋に差し込む穏やかな光、窓から見える空。