さて、発達障害の本について、情報が足りないと思っている私。どんな情報が足りないと思っているのかを、詳しく書いていくとする。
 例えば、息子は言葉を喋れるか喋れないうちから、数字が好きだった。計算も大好きで、ちょっと掛け算の原理を教えてやると、幼児の頃からどんどん覚えた。当時、九九はまだ覚える気にならなくても、持ち前の計算力で掛け算をやってのけることがあった。今も、街にある、あらゆる数字にも目がいく。
 ひらがなにも注目して幼稚園に入る前からすっかり読めるようになっていった。
 地図にハマり、都道府県のパズルにハマり、形を見ただけでもどこの県かわかるようになり、県を覚えるうちに漢字も読めるようになり、県庁を言えるようになり、新幹線が好きだったので、さらにその漢字の読みは範囲を広げていき、あらゆる地名から始まって、漢字を読めるようになっていった。……ものの、書けるわけではなかった。字は幼稚園の頃からクラス1に下手だったし、絵も人とすごく違う。下手とか上手とかそういう問題はある程度構わない。人それぞれの好みがあるからね。でも、感性が一般的な人とだいぶ違うといった感じで、明らかに異質だ。
 でも物を組み立てるのは好きで、夫が手伝ったにしろ、1年生にして、細かなプラモデルを作り上げた。運動も苦手で、私が思いもよらないことを怖がる。身体の動かし方を説明しても、思うように動かせない。
 幼い頃は特にやたらに人懐こく、すぐに輪に入っていっていったが、だからと言って、特定の友達に固執することはなくて、気に入ってくれる友達がいないと、大勢といても一人で平気だった。今は、特に好きな友達というのはいるけど、他はほとんどが「その他大勢」みたいで、その他大勢には、やっぱり執着はない。
 新しいことが苦手で、そういったことに関して臆病である。自分の思った予定に関するこだわりが強くて、思ったのと違うことになったり、計画通りいかなかったり、突然の申し出があると、かんしゃくを起こして泣いたものだった。今でこそ少し落ち着いているが、それでもグズるし、いちいち抵抗したりして、できればそういった事態を避けたがる。
 夜泣きもひどくて、1歳半まではひどい夜泣きが続き、2歳半までは背中トントンでおさまってはいたがそれでも毎晩一度は夜泣きがあった。
 すごくよく喋るし、独り言も多い。ついでに食べこぼしも多い。今でも相当なものだ。
 さて。ここまで書いたこと、全部その症状の例として書いてあるのだ。数字や計算のこと。文字に対する執着。それを書くことに関して。県や地図、鉄道関係のこと。絵は変わっているのに、物を組み立てるのは上手なこと。運動など得手不得手のことなど、どんどん当てはまる。人懐こいことに代表される人間関係。そして、突然の予定の変更に対しての大いなる抵抗。夜泣きのこと。よく喋ること。食べこぼしのこと。それを「えっ、これって問題なの?」と気にしだすとキリがない。
 ……ところがです。「ところが」なんですよ。