しかし、札幌での四季の気候。慣れちゃうんですね〜。段々と五月になって花が一斉に咲くことが、楽しみになっていった。
 結局六年住んで、「慣れた」のだ。私は慣らされちゃったのだ。人間、長く住むと適応するしかないのだろうか。でも、慣れたおかげで、札幌が大好きになってしまったのだから、良いではないか。もちろんなかなか慣れないことも結構あった。合わせて少しずつ書いていこう。
 桜が咲き始める頃になると、ゴールデンウィークが重なることもあり、皆さん外でバーベキューならぬ、ジンギスカンパーティーをする。本州でも有名だろう、ドーム型の鉄板に羊の肉や野菜を焼いて、ジンギスカン専用のタレで食べるのだ。専用のタレは略して「ジンダレ」と言ったりする。
 とにかく皆さん、野外でジンギスカンを楽しむ。寒いのに。
 そう、まだ寒いのに!
 桜が咲く頃だと言っても、札幌では、その頃、馬糞風というのが吹く。
 そう、馬糞。バフンカゼ。
 ……って何?
 ああ、次々とやってくる聞いたことのない言葉。文化。習慣。
 北海道には春一番はない。いや、南の方にはあるのだろうか。少なくとも札幌には春一番らしきものはない。その代わり、馬糞風が吹く。昔、荷物を運ぶ時など馬を使っていた頃、乾燥した馬糞が風に舞っていたらしく、それほど、風が強かったので、その名残で「馬糞風」と言うようになったらしい。もちろん、今は馬糞が舞っているわけがないのだが、名残で、その頃の強い風を馬糞風と言うらしい。ネットで調べると、昔は北海道に限らず使っていた言葉らしいのだが、札幌では今も強い風を馬糞風と言ったりする。
 そう、それほどの強風が吹いたりするのに、皆、頑張って無理やり外で食べるのだ。花見だとか強がり言っちゃって。札幌育ちの夫でも「あ〜あ〜寒いのに、みんな我慢してねぇ〜。」と言って笑って見ている。中には、ダウンジャケットやベンチコートを着て、花見している人もいる。そうまでして……と思うが、そうまでして、花見したいらしい。ちなみに、札幌で、私はソメイヨシノを見たことがない。北海道南部にはたくさんあり、札幌にも少しあるらしいが、札幌に住んでいて、見事な桜並木を観たことがないので、それだけはちょっぴり残念。エゾヤマザクラが多いと聞いています。
 しかし、花が次々と、いっせいに咲いていく風景はなかなか良い。やはり、皆春を待ちわびているのか、札幌の街中でも、花を植えている所が目立つ。各家庭の庭よりも、歩道の脇に街路樹があり、同じ場所に花が植わっている。車道の間にもこまめに花が植わっている。
 とにかく、私にとって待望の春がやってくる。