もう一回、書かせて下さいね、奥田民生の新しいアルバム『OTRL』についてです。
 ステージで、レコーディングを行った奥田民生は、それをすぐネット配信し、皆が聴けるようにした。そしてその曲を集めて、アルバムにした。昨今、歌の音程を正しい位置に持っていくオートチューンとやらを使う歌手だらけ(らしいです)の中、奥田民生は、全然そんなものに頼っていないということが目の前で証明される。改めて、カッコいいぞー!!!
 さて、今回は、主にアルバムの中の曲の好みについても書きます。
 『解体ショー』が一番気に入っているが、他の曲を作っているところを、ツアーが終わった後でもネットで一部流しているのを観て『えんえんととんでいく』の演奏部分がとてもキレイだなあと思った。
 他にも、『かたちごっこ』『ひとりカンタビレ』『暗黒の闇』など、今回は、珍しく女心をくすぐる曲が、比較的多いのを感じます。可愛い、と思わせる何か男の人特有の寂しさや孤独のようなものと、甘えた感じがよく出ている。歌詞が珍しくロマンチックで、奥田民生にそんなものを求めてないよ、とか何とか言っていた私も、ついつい恋心を思い出す感じになって、ニヤニヤしてしまう。『かたちごっこ』も『暗黒の闇』も、歌詞をよくきくと、ドキドキしそうだが、奥田民生が可愛らしくしちゃっているので、歌心ってこういうことなんだなと思う。『ひとりカンタビレ』の最後の部分「きがえて 片付けて キミが来るのを待って」で終わるなんて、とても可愛いし、『解体ショー』では「ショーが始まる時まで鼓動が早くなる」とか「君の所に行くまで、ショーが段々すごくなる」てな内容の歌詞も、たまらない。実際の歌詞はもう少し気が利いていて、言葉一つ一つが可愛らしい。
 メロディーに関して全体的にゆったりキレイなものが多いからか、家事しながらつい鼻歌をうたっている。今までのアルバムを聴いた直後にはあまりなかったことだ。
 とにかく、このアルバムを聴いていて思うのは、一曲一曲、この音もこの音も奥田民生が演奏して作り出しているのだということを実感すること。そうすると、他のアルバムより、各一曲がいちいち愛おしい。
 ちなみに、夫は『ひとりカンタビレのテーマ』『暗黒の闇』が気に入った様子。
 息子は『わかります』『RL』が気に入ったようだ。『RL』に至っては、歌詞を完璧に覚えようとムキになっているし、「母さんは、どの右が好き?どの左が好き?」とか聞いてくる。「なんじゃその質問は」と思っていると「僕は、あれもこれも好きなんだけど、普通なことが返って意外で面白いから‘斜め右’が好きだよ」とか、7歳なりのこだわりを見せている(笑)。又、『最強のこれから』の前奏、ギターの部分を「カッコ良いね〜」と言っている。
 一人で各楽器を演奏し、一生懸命でいながら楽しんでいる様子を見て、夫も息子も、もちろん私も、それぞれが、このアルバムを特別視するようになった。ネットの動画やDVDで、「ひとりカンタビレ」の様子を見て、息子は「すげー」と感嘆していた……どれだけスゴイかわかっているんだかわかっていないんだか、いや、私だって本当のところわかっているんだか、ただただ胸をわしづかみにされて、とにかく胸がいっぱいだ。