ある日、息子が画用紙に何やら書いて、冷蔵庫に貼っている。見てみると、
 「お母さんへ  まいにち たのしいかい? まいにち いそがしいかい? ○○(自分の名前)」
 と書き、その後にニコニコの、当人のだろうと思われる笑顔が描いてあった。
 何て可愛いんだろうと思い、しばらくして返事を書いてみると、ハハハと笑って、その辺に置いていたので、それほど喜んでいるわけでもなかったのかなとそのままにしておいた。
 何日もしてから、寝入った息子を見に行くと(最近、寝付く時には、お父さんと一緒のことが多いので、その後、見に行った)枕元に紙が置いてある。私の返事が書いてある紙だった。感激して夫に話し、夫が翌日辺り、息子に聞いてみると、私の返事のことではなく、その裏に書いてある掛け算のひっさんが気に入ったらしい。簡単な掛け算のひっさんが気に入っている息子で、問題を出してくれと言っていた時期だ。その数字が、二桁かける二桁なのに、答えが四桁にもなり、しかも1万に近い数字であったことが、息子には何だか心を動かされたらしく「こんなに大きな数字になるんだ!すごい!」と、そう言えば、やたらに何度も言っていた。なーんだ、私の返事は関係なかったんだと脱力していると、しばらくして、私の返事に対する返事がまた来た。
 冷蔵庫にいつの間にか貼ってある。それを読むと、私の返事に対する返事だったし、質問もなかったので、そのままにしていた。……ら、何週間かして「この返事、まだ来ないのかなあ〜。」と、冷蔵庫の前で、聞えよがしに言っている。
 「……。えっ。それにも返事がいるの?」
 と、少々驚いた私は、また返事を書いて、机に置いておいた。
 すると、帰宅後、その返事を読んで、またニヤニヤしている。そして読み終わったらまた「ハハハ!」と笑った。
 その「ハハハ!」は、何に対する「ハハハ!」なのか、よくわからないのだが、何か息子は嬉しいみたいだ。嬉しくて「ハハハ!」なのだろうと思うことにした。
 小学校二年生。まだまだ可愛いぞ。しかし、ここまでの約8年間、日々すごくたくさんのことがあって、赤ちゃんの頃のことなんか遠い昔のような気がするのに、でもあっという間なんだなあ。すごく不思議でもあり、寂しくもある。