あんなに小さかった我が息子が、今年度、小学生に。息子は特に入学当初は緊張でいっぱい。最近でこそ、だいぶ肩の力が抜けるようになったようだが、先生の言うことを聞かなくちゃと、加減がわからないようで、まだまだ生真面目に日々過ごしている。
 他のカテゴリーでも書いているように、様々なエピソードはあるのだが、ここであえて書きたいのは、やっぱりできれば面白話。
 いまだに、幼稚園年少の頃からの友達A君と続いている。母親同士も、行き来したがるものだから、子供たちも会うことになる。会うと、いつも違和感なく、すぐに嬉しそうに遊んでいる。幼稚園の長い夏休みの間、久しぶりに会った時、二人とも喜びをどう表現したらいいのかわからないようで、会うなり二人で跳びあがったかと思うと、突然二人して、100メートルくらい遠くまで走って行ったことがあるのを思い出す。息子はその弟K君とも気が合うようで、二人でふざけ、爆笑して転げ回っていることもある。
 1年生の冬休み。初めてこちらからA君の住んでいる所まで訪ねることになった。三人で、砂遊びに興じたり、部屋を閉め切って、乱暴に遊んだり、おもちゃで遊ばせてもらったり、時々喧嘩のような空気になったり、こんなに友達と仲良し同士らしく楽しそうに遊ぶ息子を見るのはあまりないので、母親としては見ていて本当に嬉しい気持ちになる。
 そして、子供たちが遊んでいる横で、A君のお母さんと色々喋るのだが、その中で、「ちょっと見てよ〜。」とあきれ顔で見せてくれたプリントを見て、ひっくり返りそうになった。
 冬休みのお手伝い。我が息子は色々考えた結果、「カーテンを開けること」と書いた。お手伝いと言えば、お皿洗いとか洗濯物たたみとか、どこかの掃除など思いつくはず。息子はお皿洗いや、お風呂のお湯をためる準備を手伝ってくれることもある。でも今回は「カーテンを開けること」……。ここで多くの母親なら、いやいや、そんなことじゃなくて、と訂正させるのかもしれないが、私は子育ての方針として、又、心理学を勉強している者として、息子のこのあまりにも素朴なお手伝いを認めることにした。まあ他のお手伝い、してくれることも「時には」あるし、私が小学生の時はそんなこと、学校から求められることはなかったし。家庭の問題だ、良いじゃないか。毎日やるなら、この程度のことで。
 内心大笑いだったけど。
 そして、A君のお母さんが見てくれたプリントというのが「冬休みのお手伝い」。そこには……。「カーテンを閉めること」と書いてあったのだ。
 大笑いしながら、「ウチはカーテン開けること、って書いてたよ!」と言うと、A君のお母さんもさすがに大笑いしていた。
 私たちが驚いたり大笑いしたりしているので、子供たちが寄ってきて、そのプリントをのぞきこんだ。「ミツとおんなじようなことを書いてるねえ!」と言って説明すると、A君はニヤニヤしていた。申し合わせたわけじゃないのに、このセンス。やっぱり二人は合うんだなと思った瞬間だった。
 そして、付け加えたいのは、彼女の、特別心理学とか勉強もしていないのに、そういう子供の気持ちを否定しないで、見守ることのできる度量が、私は好きだ。