今回、ユニコーンの再結成のきっかけは、阿部が「今の、皆の技術をもちよると、面白いユニコーンが出来上がる」と思い、決意したとのこと。ずっと皆がちゃんと音楽活動していたんですね。誰一人やめていなかった。そこそこ健全に、メンバー全員がいつでも現役だった。それだけでもスゴイと思う。
 そして、再結成を思い立った阿部は、最後に川西のところに行ったそうだが、彼はどんな思いでその話を受け入れたのだろう。
 彼の心の内は、誰にもわからないが、川西をそんな風に見ながら、たくさんの気持ちを抱えてここまできたのだなあと思わずにはいられなかった。
 彼は、ユニコーンを結成したリーダーである。サラリーマンをやりながらドラムをたたいていると、勧誘した奥田民生に「サラリーマンとはバンドを組む気はない」と言われ、川西がドラム一筋になったというエピソードは、さすがに詳しくない私でも知っている。
 たくさんの作詞作曲をし、その中で、彼が作ったとは長い間知らずにいた大好きな曲も多くある。川西の曲は、ちょっとコミカルで、リズムの速いものが多い。歌詞の面白さから、若いながら音楽を楽しんでいる様子やユーモア精神、若さゆえのとんがったところが伺える。そんな彼が最初にユニコーンをやめてしまったのだ。
 彼の心を思うと、楽しそうにドラムを打っている姿が、とても重たいものに見えてきた。
 彼のドラムの音は、とてもかわいていて、細く小さい身体を目一杯動かして激しく腕を上下させながら(だから音が乾いた感じなのだろうか)、パシパシと響く。その特徴的な軽い音だけど、彼の気持ちはその全身で表現されているような、激しく強いものであるような気がした。