幼稚園に一日子供たちと過ごす体験をする日。
 さんざん走り回ったその後は、教室内での新聞紙遊びとなった。
 その遊びの一つ。ビリビリに破ったのをお母さんたちにたくさんたくさん貼ってコートのような状態にする。そして体が温かく感じるほどたくさん貼り終えたら、お母さん同士で「誰が一番早くそれを脱げるか競争」だと言う。
 最初は、いっぱい貼ってもらった方が面白いと思ったので、貼ってくれた子たちに声をかけながら、「このお母さんに貼ると楽しい」と思わせて、より多く貼ってもらった。
 ところが、たくさん貼ってもらえたは良いのだが「じゃあ皆は、誰が一番早く脱げるか、当てっこしようか!」と先生。え〜……そんなプレッシャーが待ち受けていたの……。
 そして「○○君のお母さんが一番早く脱げると思う人〜!」と順番にやった時、ダントツ人気になってしまった私。さっき「このお母さんに貼ると楽しい」と思わせたのがマズイ方に出ちゃった。先生が「じゃあ応援しましょうね〜!」となった時、特に目の前に集まった、息子を含む男の子たちがキラキラの目をして「頑張れ〜!!」と大盛り上がりになってしまった。「こうやると良いよ」「ああやると速いと思う」などと本気になってアドバイス、応援している。そんな期待を背負った私は、笛の合図でものすごい勢いで脱ぎ捨て、片手を突き上げると、応援団(?)が大喜びになり、女の子たちも混じりながら、皆でハイタッチ。
 そう言えば、幼児期、こんな風にフザけたり盛り上がったりしたなあ。帰国するまでは、結構人気者だったよな私……なんてことも思い出した。
 ……が。
 その後、すっかり息切れ。
 ヘトヘトになってしまった私はお弁当の時間もすごーーく静かに過ごし、その前後の遊びも、特定の子とだけ遊び、とても穏やかにボンヤリしているうちに、終わってしまった。ペース配分を完全に間違えました。
 しかし、我が息子を差し置いて、本当に楽しませていただきました。
 息子は、何か突出して皆よりアピールできるものはなく、群を抜いているとしたら、マイペースさでした。
 女の子たちもおませじゃないかと心配していたよりずっと可愛くて、一生懸命、コトコトおままごとの料理を振舞ってくれる子がいたり、簡単な編み物の進行をいちいち報告してくれる子がいたり、インド人の子もいて、マニキュアをしていたので、私も昔、保育園時代や幼稚園時代にしていたのを思い出し、こう言われたなというのも思い出して「マニキュアきれいね!」と言ってみた。ちょっと恥ずかしそうだった。
 女の子で気になったのは、あまり家では構われていないような子。喋ってみると可愛かったりして。今回はそういう女の子とのコミュニケートが、結構お互い意義あるものになった気がしました。