息子の通っていた幼稚園には、年に一回、父兄が先生としての体験をしに行く日というのがある。そう書くと大袈裟だが、親側から言わせてもらうと、単純に、「子供が幼稚園でどんな風に過ごしているのか、参観日よりも自然な流れを見ることができる」といった風だろうか。その上で、ちょっと話し相手や遊び相手になったり、先生に手を貸す程度のお手伝いをするといったところだ。
 年少さんの頃は、お弁当より前に帰宅。だけど、私はその日、あまり体調が良くなく、参加不参加が自由だったので行かず。
 年中さんの頃は、誕生月にお祝いを兼ねて行くので、息子も楽しみにしていて、お弁当を食べ終わるまで皆と一緒に過ごした。
 年長さんは、先生が担当月を決めていて、毎月5〜6人の中から参加できる人は参加する。そして朝から帰宅までずっと一緒。
 昨年もだったけど、今年もやっぱり、前日から「子供苦手だから大丈夫かなあ。皆と馴染めるかなあ。」などと思ったりしてちょっと憂うつになってしまうのだ。あわよくば、息子が休んでほしいなんて、よからぬことまで考えつつ、結局二人して元気にその日を迎えてしまうのだ。で、前の年もだったけど、年長さんの時もすごく楽しんで帰ってきました。
 息子は、特に年長さんになってから親子一緒にいられる行事の度に、よくグズグズわがままを言っては私を困らせてきた。緊張が解けている瞬間なのだろうと頭ではわかっていても、こちらは楽しみに来たものだから、本当にガックリする。
 例えば遠足で、細かなことに何かと文句を私にぶつけ、最後に写真撮影となった時に大泣きで注目を浴びる。
 例えばお泊り会が終わって迎えに行った時、一晩離れていた緊張感から解放され「やったー!会いたかったよ〜。」という私の満面の笑みとは真逆に、またくだらないことで文句をつけて大泣きし、大大注目を浴びる。
 例えば運動会で、お弁当の時間に、それは本心じゃないでしょと明らかにわかるようなことで文句を言い、弁当に手をつけようとせず、夫と私に叱られ大泣きで大注目を浴びる。
 「泣きたい気持ちはわかるよ。泣いてもそれはダメなことじゃない。そんなことで嫌いになったりしない。でも、そろそろ人が大勢いる所で泣くのは頑張って我慢してみようよ。大泣きしたら皆びっくりするよ。楽しくないのかなと思うよ。」
 まだこういうことを言うのは早いかな、皆と比べ、人の目を気にしている私がいるのかなとか気になりつつ、でもそろそろそんなことを意識させても良い時期だろうと思った私はその後の行事の度に話してみていた。
 今回も「お母さんがいる時のミツじゃなくて、普段幼稚園でどんな風に過ごしているか、頑張っているミツを見せて。」と伝えておいた。「いつも僕、我慢してるんだよ。」と言っていた息子を愛おしく思ったが、ここはやはりそんなミツも見てみたいのだと話し合った。
 お弁当の時間に、お母さんの隣で食べたいと半泣きになりながら、頑として譲らなかった以外は、おかげさまで楽しく頑張っている息子を見ることができました。