もう一回だけ『PTA』の番組の中の内容について、引っ張らせて下さいね。
 かなり重大なテーマが隠されていたものですから。じっくりと書きたいわけです。
 さて、一人のお母さんが「息子が、ダンナと仲良くしてくれない」という内容で悩み相談を寄せてきた。しかし、たむらけんじがインタビューするにつれ、それ以前に夫婦仲が悪いことが判明。
 何故それが判明したかと言えば、息子の一言があったからだ。
 「お父さんとお母さんの仲が悪いから。僕がお父さんと喋ると、仲の悪いお母さんに気を使って気まずくなる。」
 ……! そうか。そうだったのか。
 きっとカウンセラーたちは、こういう発見をする日々なんでしょうね。「そうか。そうだったのか。」この子の本心は、っていう。
 こんなに一つ一つ違う人や子供の悩みを聞いて「そうだったのか!」を繰り返していると、そりゃ机上で幾ら勉強したって追いつかない。スゴイなあ〜と思った瞬間だった。子供が気を使って、父親と仲良くしないようにしているだなんて、軽く喋ったくらいでは気がつかない。親も気づかない。たむらけんじの人柄を垣間見る感じもした。
 そして、番組側は、おそらく専門家も協力したと思われるが、夫婦で、共同作業のゲームをさせ、合間に息子の本心が少しずつわかるようにしむけていく。一つクリアしては「お母さんの好きなところ」、さらに一つクリアしては「お父さんの好きなところ」が手紙でわかるようになっている。二人の、普段の息子クンに対する気持ちが伝わって涙が出た。
 そしてゴールで、その息子クンが本心を明かした。
 両親はとりあえずその気持ちを受け止めて、それぞれ、息子クンに謝っていた。
 「この子、この気持ちを言うのがもう5年遅れていたら、グレてますよ。」というようなことを言った中川家剛の発言を聞いて、ああこの人も、子供への接し方を自分なりに考え葛藤しているんだなとわかった。
 良かった良かった。
 でも、この夫婦の葛藤はきっとこれからである。夫婦の仲をどう改善しようか。子供の気持ちを熟考しながら、感情的なのを度々横によせておいて、お互い向き合っていかなければ、この息子クンは、やっぱりグレちゃうかもしれない。少なくとも親との深い葛藤を残したまま大人になって、あらゆる面でそれは顔を出し、苦しむことになると思う。
 そのようなことを考えさせられた。とりあえず子供は最初の膿を出してくれた。その膿を治療していくのはこれからの親の姿勢。
 そして、私にしたら「そうだったのか!!」という発見が、自分の机上の勉強の浅はかさを思い知ることになる。でも、現実にこういう人たちと、私はきっと向かい合えないだろう。この家族を見た時、あらゆるカウンセラーの「そうだったのか!」を、そしてその裏にある苦労を垣間見た気がした。