とうとう、私もマラソン大会に出ることになった。
 未就学児の親子マラソンが、近くでなかなか行われないので、「あっ!これは幼稚園生でも参加できるよ!」と見つけたマラソン大会。親子2キロコース。
 まだ1キロ少ししか走れなかった私は、当然夫と息子が走るものだと思い込んでいた。
 ところが、夫は「他の人が走るのを見てたら絶対に走りたくなるから、僕も走りたいなあ。」と言っている。まあそれでも息子と走るんだよね、と思っていた私だったが、夫は「どうしてもハーフマラソン走りたいなあ〜。」と言い出した。
 ……あーそう、じゃあ走ったら良いじゃない、前の大会のように、親子マラソンが終わった後、ハーフマラソンに出ればね。と思っていたら。
 時間が合わないと言う。ハーフマラソンを走る時間に、親子マラソンがあると言うのだ。
 「……そんなあ、私は2キロも走れないって。」
 「いや、ミツの2キロは、ゆったりペースだから大丈夫だって。」
 「でも、それなら誰か写真撮ってほしいなあ、だからハーフはやめておいたら?」
 などと、色々やり取りした結果、なんだかんだで結局私が走ることに。
 そして練習では、1.8キロ連続で走るのが精一杯となった私も、息子について走るうちに、ゆったりペースに慣れて2キロ完走できた。
 しかし、前回息子が走った時も「わが子がここまでマイペースだとは」と驚き、半ば呆れたものだったが、今回は心から感心することができた。スタートの合図に気づかず、「あっもうスタートしてるみたいだよ。」なんて言いながらのスタートだったもので、後ろから2番目だった私たちだったが、決して慌てることはなく、淡々と自分のペースで走り続ける息子。靴紐にタイムを計るチップをつけたのが下手だったせいで、何度か靴紐が取れてしまい、焦る私をよそに、待ってくれたりそのまま走っていたり。あくまでも息子はマイペース。
 後ろの方で走る子供たちは「もう走りたくない」「疲れた」などと言いながら歩いたりしていたのだが、息子は一定のペースで、走り続けている。いつもは何かにつけて「疲れた」とグズグズになるのに、泣き言一つ言わず、歩くこともせず、ただ走り続けている。沿道から「頑張れ〜」と声援が送られると、息子はニコニコと笑顔で応えていた。そして手を振ってくれるオバちゃんがいると、手を振り返している。
 なんて楽しそうに走るんだろう。
 横で走っていて感心した。マイペースってこのことだな。
 私が走った感想としては。以前沿道から見ている時に「走っている人は、大勢の人に見られて、自分の走り方を意識しちゃって恥ずかしくならないのかな。」と思っていたのだが、いざ自分が走ってみると、沿道の人の視線は気にならないのであった。「ただの人だかり」として視界に入ってくるだけで、意外と、一人一人の視線は気にならないんですね。
 良い体験をさせていただきました。お陰で、まだまだ走り続けようと思えます。
 その後、3週間ほど、家族で風邪ひいちゃって休んだけどね。