子供にとって、親の態度で大事なことのもう一つは、フォローするということ。
大人の言い訳ではありませんよ。
 子供は怒られた後、自分が悪くても、怒られながら親の存在の大きさに恐れおののく。その時の親の気持ちを後から冷静に話し、あなたにいけないところはあったけど、あなたという人間自体が悪いわけではない、私はあなたのことを嫌いなのではない、大好きなんだよ、ということを、伝えなければならない。話したがらない子供であればあるほど、真剣に目を合わせて自分の気持ちを話してやるべきなのだ。
 怒った時だけでなく、気を使ったんだなと思った時も、親はその気持ちを受け取ってやった方が良い。そして、気を使われた自分の感想も添えるともっと良いだろう。
 子供は、言葉がまだ足りない。自分の感情の表現の仕方も知らないし、どういう感情なのか自分でも気づかないことがある。しかし、感じている気持ちは大人と変わりない。
 大人の言葉を無視しているように振舞う子供もいるかもしれない。まだ大人の言っている意味もわかっていないかもしれない。ピント外れな受け答えが返ってくるかもしれない。
 でも、親は子供に対して、真剣に向き合っているという態度を、子供に示さなければならない。子供にはまだ真の意味がわからなくても、話してみよう。その子供なりの返事は、何度も何度も重ねていくうちに、それらしいものが返ってくるはずだ。
 怒られっぱなしでは、子供は自己評価が低くなるだけで、得るものはない。怒られたという事実だけが記憶に残る。親にどういう態度でいれば怒られないかというニセモノの自分の振る舞いを覚える。
 それよりも、「親も怒ることがある。」「それは何か自分のことで気に入らないことがあったらしい。」「あの時、何か自分がしてしまったことで怒られた。」「機嫌が悪いことがある。」「イライラしていたらしい。」「親の機嫌の悪さでいつも以上に怒られた。」「自分も怒られるようなことをしてしまった。」
……「でも、自分自身は否定されていない。」ここが一番大事である。
 どんなアナタでも、大好きな気持ちには変わりない。でも、アナタの「あれは」許せないのだ、という親の気持ち、そして親の境界線を子供に知らせ続けよう。
 もちろん、機嫌によって「今日はそのことで怒らない」「今日はこのことで怒ってしまった」ということはあるだろう。でもそれは結局その程度のことなのだ。肝心なのは、「どうしても絶対に許せない」という内容のことである。そこは泣こうが喚こうが、場所がどこであろうが、親は毅然と言葉に出して叱らなければ、子供には伝わりません。
 そして繰り返すが、全人格を否定する言葉と態度は、子育てにおいて、ご法度です。それは、言葉と態度による虐待です。そのポイントだけは外しませんように。