さてさて、その数ヵ月後、子供の英語の契約を更新する時期になって、息子は「もう英語はしないで良い。」と言い出した。
 「……。」……なんですってっ……。
 また息子のことだから、うまくごまかして続けさせることはできないと瞬時にわかったが、夫も私も多少粘ってみた。
 「何で、もうしないで良いって思ったの?」
息子「難しいんだ。」
私たち「(難しい?!そんな高度なことはしていないハズだ。)英語が難しいのかい?」
息子「ウン。」
私たち「難しいっていうのは、言葉が難しいのかい?先生の言っていることがわからないのかい?」
息子「先生はわかるんだけど……。」
私たち「わかるけど、たくさん単語言ってくるから大変かい?」
息子「そうそう、そうなんだ。たくさん覚えられないんだ。」
私たち「全部覚えなくても良いんだよ。一つでも覚えて帰ったら、あとは楽しめたら良いんじゃないの?」
息子「へぇ、そうなんだー……。」
 そうかそうか、知らなかった、少し覚えさえすれば良いのか、と納得していた息子だったが、数日後、もう一度「で、続けてみるかい?」と聞くと「いいや、もうやらない。行きたくない。」と言う。朝早いことや、休みの日のことや先生のことなど色々探ってみたが、どれも理由ではなかった。やはり息子にとってはプレッシャーのようだ。
 ところが、さらに「小学校に入ったらまたしたいんだ。」と付け加えた。
?!……何故だ……。
 これは、よくよく聞くと、ちょっと前に自分の授業が終わった後に、小学生の英語の授業をのぞいてみたら、本を持っていたり、何かノートに書いたりしていたらしい。そういうのがしたいと言う。
 しかし、小学校低学年の枠は、3年生までを含んでおり、今よりもっと難しいはずだ。それに小学校に入るまであと3ヶ月だけ。続けていたら良いではないか。
 と、これも何度か説得を試みたが、頑なだった。
 あまりに持っている答えが明確なので、夫も私も息子を尊重することになりました。
 いやあ、そこまで考えがハッキリしているのなら、何も言うまい。楽しんだら良いと思って入らせたのだから、楽しめないのだったら無理して通ったところで、苦痛なだけだろう。しかし意外な展開。もうやめちゃうのか。そしてまた始めるつもりなのか。
 まあ習い事したくないと言い続けていた息子が、数ヶ月続けてみたのは、息子にとっては大きな前進でした。少しずつ息子なりのペースで、考え、自分の世界を作り上げていっているんでしょうね。今の我が息子には、それで充分のようです。