改めて、奥田民生の今回のツアーDVDより一つ前に出たDVDを見直した。井上陽水奥田民生のライヴ風景である。
 それを観て、やっぱり良いなあと思った。
 そして、私はやっぱり彼に歌の上手さを求めているのだということを、改めて実感した。
 井上陽水が歌うパートが終わって奥田民生のパートになったり、ハモったりしているのを聴いて、「スゴイな、上手いなあ〜。」と思うのが、私にとっては嬉しいらしい。なので、彼の、音があちこち飛んで難しいのに大体を外さない音程、曲の流れに沿った声の強弱、井上陽水の声を殺さないように気をつけつつ歌っている感じ、を見て、とても満足した。そうすると、ギターの弾きっぷりや、ノッて楽しんでいる感じをさらに良いなと感じることができる。
 ところで、私の夫、体格は違うんだけど、奥田民生に少し似ている。
 と、いつ気がついたのだろう。私の両親からも言われたことがあるし、友人数人からも、言われたことがある。パッと見て「わー似てる!」ってほどではなく、誰の目から見ても、ということもない。普段生活していて「似ているなあ」と思う瞬間があるわけでもない。
 でも写真を見て「アラ」と思うことがある。そういう時は、ちょっと嬉しい。
 その程度なので、別に夫に似ているから好きになったわけではない。ということを改めて主張しておきたい。ただ、このカテゴリーの最初に書いたように、夫と音楽の好みが似ていることがわかってすぐ、夫が私に「この人の音楽、きっと好きになれると思うよ。」と言って渡してくれたのが、奥田民生のアルバムだった。そしてハマった。
 そういう意味では、夫と奥田民生は、私にとって切り離せないものではある、ということを認めましょう。でも、しつこいけど、顔が少し似ているから好きなわけじゃないですからね。雰囲気で、ちょっと似たところはあると思うけど。
 奥田民生の世界、歌詞、そして「歌がめちゃ上手い」という今の私には好きなミュージシャンを挙げる時に欠かせないと確信した条件。そしてその人独自の空気が出せるのが良い。シャイな人のようなのに、歌を歌う時は、そういうシャイな面から解放されている。言ってもわからんだろう、という気持ちからも解放されている。しっとりとでも、激しくもなく、力強く聴かせてくれる。
 で、それを観たり聴いたりしていると、可愛い……と胸がポッとする。