奥田民生のDVDが届きました。『FANTASTIC OT』のライブですね。
 このDVDで、自分が奥田民生に何を求めているかがすごおーくよくわかった。以前、掲示板に勝手なことを書き込むファンに「何を求めているのだろうか?!」と書いたことがあった。私自身は、奥田民生がライブ中にフザけようと、適当なことを言おうと、ギターに没頭しようと、トークしようとしなかろうと、髪型がどうなろうと、気にしたことはなかった。私自身は、ただただ彼の歌と演奏を楽しんでいるのだと思い込んでいた。
 それはわかっていたが、私は、彼に対し、歌と演奏に、意外と「完璧」を求めていたことがわかった。今回のアルバムをCDで聴いた時に「あれっ」と思ったのは、以前にも書いただろう。完璧ではない。聴いててちょっと違和感があったのだが、まあ、あえてそういう風にしたのだろうと自分を納得させていた。
 ところが、DVDを観た時に、私は初めて「あー思っているのと違っていやだなあ。」と思ってしまった。私は、奥田民生がおそらく影でものすごく練習していることにほれ込んでいたのだ。難しい曲を淡々とうたいこなし、簡単な曲をロック魂全開にして、カッコ良くうたいこなせる奥田民生のボーカルが一番好きだったのだ。その上、ギターも「聴かせる」。
 舞台では、多分自分の声が聴こえにくい大音響なのだと思うが、それも匂わせないくらいに、彼の音程は安定している。思いっきりお腹の底から声を出すけど、音をはずさない。誤魔化さない。声を抑えた歌も聴かせるし、張り上げた声からフッと声を落とすのも上手だし聴かせる。高音も低音も、決して音程がおかしなことにならない。
 もしかしたら、奥田民生は、そんなこと問題ではないのだと悟ったのかもしれない。音楽を作るうえで。ギターを演奏する上で。言葉を聴かせる上で。しかし、私は、ボーカルとしての奥田民生をすごく気に入っていたらしい。DVDで、自分の発する音に多少無頓着な彼を見て、すごーくガッカリしてしまったのだ。
 ね。ファンて結局、勝手なんですねぇ。彼の世界観だけで良い、彼のペースで素晴らしいと思っていたけど、私の要求していた「奥田民生」はとても欲深いものであると気づいた。
 まあ奥田民生本人は、周りの声がどうであれ、自分が納得していればそれで良いんですよねぇ。後に彼のインタビューを見て「彼らしい」(相変わらずな感じだ)と笑えたので、また今後にも期待します。