最近ハッとさせられたことのもう一つは、遠足にまつわる出来事。
 年長になって、息子自身も「年長さんはやることがいっぱいで、忙しくなったんだ。」と言っているくらい、やらなければいけないことが増える。年中さんや年少さんのために何かを作ったり、皆で意見を出し合ったり、畑へ行って何か植えたり収穫したり、クラスの友達のために何かを練習したり、字、運動遊びなど覚えることが多かったり。そんな中で、「今そんな気分じゃない」「やりたくない」と思うことも多いようで、それでも文句も言わずにやっているらしい。それがわかったのが遠足の時。私と手をつなぎながら、ずっと「えーそんなのしたくない。」「僕はしない。」「今はあれがしたい。」とずっと反抗し、実際にしようとしなかったり、違うことをしようとしたりする。横ですごくイライラハラハラする。
 そして最後の、クラスごとの記念撮影の時には、「お母さんと一緒じゃないといやだ!」と大泣きして、皆の注目の的に。トホ。当日は、私の体調が悪くて、立っているのがやっと。頭は痛く、膨張した感じで思考力もなく、ただ泣きたい嫌な気分だけが残った。
 その後も連日、反抗する息子に「どうしてそんな風に反対のことを言ったりしたりするの。この前の遠足の時もそう!お母さん、ちっとも楽しめなかったよ!」と言ってしまった。息子は泣きながらも「僕だって楽しくなかったもん。」などと言っていた。
 ところが、さらにその後、毎月の絵手紙を描く時間があり、「年長になって楽しかったこと」をテーマにした物を持って帰ってきた。
 そこには、レジャーシートを広げ、二人の人がそこに座っている絵が描かれてあり、「遠足へ行ったこと」と書いてあったのだ。
 年長さんになってから、ドッジボールやキャッチボール、リレーの練習があり、息子は不器用ながらも「すごく楽しいよ!」と面白がってくれている。他に、茶道の時間もあり、お茶をたてたり、お菓子を食べたりすることも詳しく教えてくれた。年中さんや年少さんのために、だんごを作って食べたことや、今までこなしてきたけど、やっと意味がわかってきた行事の話も楽しそうにしてくれる。
 でも。「遠足へ行ったこと」を描いてくれていた。
 しかも、そこにはレジャーシートの上に座る二人とは別に、大きく大きく、自分の弁当箱を描いている。お弁当は、いつもよりほんの少し、中身を楽しくしたのだが、おそらく息子には「お母さんと、ピクニックみたいに、お弁当を食べたこと」が、とても印象に残って、楽しんでくれたのだろうと思うと、全然楽しまなかった自分をほんの少し責めました。確かに息子は‘良い子’じゃなかったけど、私がいることで、普段幼稚園内で抑えている気持ちを表現していたわけだし、息子自身は、すごく楽しんでいたんですね。お弁当を食べた後も滑り台をたくさんして、とても楽しそうだったし、写真の時には大泣きした。でも、何よりお弁当が楽しかったのね。食べることが好きな息子だが、そんな絵を描いてくれたことが、日常の私の気持ちへの、何よりものプレゼントとなった。
 これに、親が感想を書いて提出すると、年度末に手元に戻ってくる。これを私はきっと宝物にするだろう。