夫がマラソン大会に出ているのを、息子と二人で応援に行くのはなかなか面白い。
 夫は、根がマイペースなのか、スタート直後も、さほど皆にのまれることはない。道路で応援している私に、最後尾から「みんな、速いなあ〜。」と大きな声で訴えて、沿道の笑いを誘っているくらいだ。でも、戻ってくると、大抵参加した人の真ん中くらいの成績。ちゃんと自分のペースを心がけて走るので、結構追い抜くそうだ。
 マラソン大会って、観に行ったことありますか?結構面白いんですよ。
 まあ、楽しくて楽しくて仕方ないってわけじゃないですけどね、自分は観ている側に過ぎないから。でも、色々な人がいるんです。
 1キロコース、2キロコース、5キロコース、10キロコース、ハーフマラソン、などと種目が分かれていたり、親子で参加、小学校1〜2年生、中学生の部、などもっと細かに分かれている。そして、それぞれが時間差で出発するのだ。
 そんなものだから、戻ってくる時間がまちまちなんですね。
 例えば夫が、10キロコース、40歳〜の部で、11時に戻ってきたとしましょう。でも、その11時頃の中には、5キロ走ってきた人もいれば、1キロ走ってきた人もいる。60歳以上の人もいれば、小学生もいたりするわけです。だから、すごい勢いで走って帰ってくる人もいれば、ヒーヒー言って、ガンバレあと少しだと、沿道から声をかけてもらう人もいる。80歳くらいの人が走っているのを見ると、自然と沿道の声も大きくなる。
 女の人も思ったよりはいますよ。
 皆、それぞれの走るスタイルで、自分の精一杯で帰ってくる。
 この様子がねぇ、実際に目の前にすると、かなり胸を打つんです。皆、日々積み重ねているんだなあと感じる。一生懸命、ただ走っているんですね。何を考えているのか、どこを見つめているのか、声は聞こえているのかわからないけれど、ゼーゼーハーハー頑張って走ってゴールに向かっているんですね。
 あーみんなエライ。スゴイ。
 単純にそんな感想を抱いて、いつも良い気分で観させてもらっている。
 息子も幼いながらも感じるところがあるらしく、自分のお父さんが戻ってくるのを楽しみにし、応援についてきてくれる。控えめながらも「お父さ〜ん」とか声をかけている。そして自分も、親子コースに参加したいと言い出した。そのうち、小学生になったら一人で走りたいと。どこまで本気なんだろうか……。
 今本気だとしても、そのうち思春期になれば走らなくなるかもしれないけど、きっと大人になったらまた走る側の人間になるんじゃないかなあと思う。お父さんがあれだけ走っているからね。私もちょこちょこ練習し始めたからね。
 ま、今は、競技場で出ているうどんとか、焼きそばとか、屋台で出ているクレープやアイスクリーム、カキ氷やジュースとかが楽しみみたいだけどね。
 でも、マラソンごっこ、ウチで結構やらされますよ。