いやあ、それでねぇ、とうとう私も走り始めてしまいました。
 夫が、走り始めて数年。最初は水泳や自転車、ウオーキングをしていたはずなのに、気がついたら夫は走っている。いつからだっけ?明確な記憶はないのだけど、今も走っている。もう少し夜食を減らせばきっとその分、走るのがラクになるだろうに、「走り始める前から8キロ減」これがなかなか変わりません。
 最初の数週間は筋肉がついていくのか、体重がむしろ増えていっていた。「わあどうしよう!増えていくよ〜!」とうろたえる夫だったが「三週間、だまされたと思って続けてごらんよ。」と、一般論を押し付けて、何とか続けさせた。すると、みるみる体重が減っていったのだ。
 よく、人の身体のリズムは三週間、てのを聞くんですが、あれはナンでしょ?自分で言っておいて何て無責任なんだろうって思うけど(笑)。でも、夫を見ていて余計に実感することが増えた。
 走るのを頑張りすぎた時、夫は四週間目で大抵体調を崩す。原因不明の熱が出たり、ものすごくだるそうになって、いつもより多めの休養を必要としたりする。また、身体の中の方の筋肉がつって、顔が土気色になり、のたうち回っていたこともあって、その時には本当にワタクシ、どうしようかと思いました。救急車呼ぶ?病院連れて行く?寝ている子供は連れて行く?じゃあタクシーで行ってもらう?とかあたふた考えているうちに治まっていったけど。いやあ、あの時はびっくりした。
 で、それまでも、くるぶしの辺りが痛いだの、腰が痛いだの、背中が痛いだの、膝が痛いだの、色々訴えてくるのだが、私にはどうもピンとこない。フーン、色々痛くなるんだなあ。また痛みかあ、辛そうだなあ。そんな感じだ。
 「どうしてそれでも走るんだろう」
 と、夫が自分で何度も聞いていた。そりゃ私にもわからん。
 色々理由をこじつけてみたりもしていたが、結局「楽しい」で良いじゃないかと、最近はそんなことを言っている。
 人は、長距離を走るようにできている、と最近の学説では言われているらしい。
 短距離なら、動物にすぐ負けてしまうのだが、比較的長距離を走る馬でも、10キロを超えてくると、人間に負けるとのこと。動物はどんなに速くても、やっぱり生きるための狩り、あるいは敵から逃げるために走るわけだから、そんな長距離走る必要はないのだ。
 「人は、長距離走るようにできている」
 と言われたら、まあそうかもしれないと説得されてしまう。だって、何のために走ってるの?あんな長距離を、ただただ、生きるための目的でもなく、ダイエットだけのためでなく、痛いところがたくさん出てくるのに、苦しくなるのに。
 そのうち、夫は各地のマラソン大会に参加し始めた。10キロ、10マイル、ハーフマラソン。色々出ている。