年が明けてから、ひどいメニエールを含め、何度もそういう目に遭って、休んだり、鍼に行ったりしているうちに、一つの傾向に気づいた。
 これは、鍼師さんのおかげです。
 実は、ちょっとおヘタなところもある鍼師さんなんです。
 たまにアザを作られたりする。マッサージなど指圧も、さほど気持ち良くない。でも、鍼の効果を、私はすごく感じているのだ。他に信頼できる鍼師さんを知らないし。
 友達に「自律神経失調で、神経がピリピリしたり、イライラしたり、すごく疲れて、手がしびれたりするんだよねぇ。」と訴えると、その友達が「神経的なものは、指圧より鍼の方が効くよ。」と教えてくれたのがきっかけだ。
 そこで、鍼に行くと、あっという間に、苦しんでいたしびれが取れたのだ。
 その後、何度か自律神経失調が起きたり、メニエールが起きたりする度に訪れた。
 一年ほど通ううちに、その鍼師さんに、指摘されたのが「季節の変わり目」。人はものすごく体力を使うものらしい。それで抵抗力が落ちて、風邪もひきやすくなるとのこと。その中でも、私は丈夫じゃないから、極力気を使ってほしいと言われた。とにかく人より休めと。人より休まなくてはいけないし、自分の中でも「普段より多いな」と思うくらい休養を取った方が良いらしい。たくさんの人のコリとか身体の弱い部分を見ている鍼師さんだが、私の身体は一般的な30代の人と比べてちょっと厄介だとのことだ。そして特に興味深く感じたのは、私が「暖かくなった瞬間」に弱いということだ。
 そう言えば、幼い頃、体温調節があまりに下手で、母が驚いたことがあるのを聞いたことがある。夏の暑い日に、私を抱っこして歩き、デパートに入ると、みるみる顔色が悪くなってきて、震えだしたそうだ。つまり、自分で感じている以上に、身体の方が温度調整できていない。寒いとか暑いとか思った時にはもうタイミングを外していて遅いらしい。
 確かに一番メニエールが起きやすいのが春。
 それ以外にも自律神経失調で、鍼師さんにはお世話になっているのだが、大抵「寒い日が続いた直後の暖かい日」辺りで、電話を入れて鍼のお願いをしているらしい。
 それでハハーンとわかったのだ。
 なるほどね、自律神経失調は、確かに気温の関係で起きると言う。体温調節が下手だと、交感神経と副交感神経のバランスがうまく取れずに、自律神経失調が起きやすいのだ。そこで、身体の不調が出てくる。それが時と場合によって、メニエールだったりするのだ。じわじわと暖かくなり始めても、ちょっと寒さが戻ったりしますよね。その寒さの後の暖かい日、というのが危険なのだ。
 そう思うと、ストレスだとか、理由がわからないなどと、怯える必要はなくなった。
 そうか、気候なのねと。
 これは、気持ちの問題ではなく、身体のメカニズムなんですね。そういう部分が弱いから、表に出やすいというだけで。意外と単純だった。私の場合のメニエールの仕組み。
 それから、少しずつ鍛えていこうと思えるようになったのです。