というわけで、世のお父さん、もっと子供と接して下さい。
 子供と接する時間が長くなると、ちゃんと比例して、子供のことがわかってくるようになります。最初は、泣かれたり、抵抗されたり、すねられたり、わがまま言われたり、いやがられたり、かもしれない。でも、できるだけ早い段階で、子供の存在を父親に知らしめて、父親の自覚を促そう。そう、母親がね。
 心理学の勉強をしていて、家族の中でいかに父親の存在が大きいかわかってきた。父親は、奥さんにも、子供にも大きな影響を与える。娘には、年齢を経てから、異性関係に影響してくることが大きいし、息子には人生そのものに影響してくる。奥さんとは、子供の相談に乗り、愚痴を聞くことで、母親と子供の関係を円滑なものにする。私もそうだ。夫に聞いてもらえなかったら、イライラしてくる。夫との関係が良好ではない時は、子供に対するイライラも倍増だ。夫が何か心に抱えていると、奥さんが不安になることが子供に伝わり、やはり子供にも我慢を強いることになる。ある程度は、家族として機能していくには、むしろ必要なこともあるだろうが、これがエスカレートすると、家族はうまく機能していかなくなる。どこかで誰かが我慢を強いられ、世間的にとまではいかなくても、家族の中の事件が起きるだろう。もしかしたらそれは子供の一生を揺るがすことになるかもしれない、辛い作業となるかもしれないのだ。親はそれをよく自覚して、自分と同世代の人と接するのとは、くれぐれも区別しておかなければならない。
 そんなわけで、お父さんの存在は大きい。思春期の頃はともかくも、子供がお父さん大好きになると、お父さんの力はもっと発揮される。言葉や上辺ではなく、心から尊敬できる存在となり、父親の注意や話を聞けるようになる。そればかりか、しっかりとした信頼関係にあると、父親に色々なことを質問できるようになる。父親が母親を誉めると、女性に対する扱いを知り、大人になってからの自分は、どんな父親になろうという意識が出てくる。いや、こればっかりはね、短絡的ですよ。そんなもんです。親になって知ることは、自分が親にどのように接してもらっていたかということ。それを思い返すばかり。愛情溢れて接してもらったら、それを思い出すものなんです。そしてそれを子供にしてやって、そんな時の表情を見ると、本当に嬉しくなります。
 さて、親が子供と遊ぶ時、特に外で他のご家族を見てて「ウーム」と眉間にシワを寄せてしまうのだが、お父さんが自分の権威やプライドを捨てられずに躍起になっている時ですね、あれ、とっても見苦しいです。いや、子供に良いとは言えない。オイ、こうしろ、ああしろ、それはダメだ、言う通りにしろ、といった風に、自分が父親であるから、という気負いを存分に周りに見せびらかしている。子供にもね。
 それよりも、一緒になって遊んでいたり、子供と感情を共有しながら、しっかりと誘導している父親の方が、よほど良い。そういう子供を見ていると、ちゃんと言われなくても、お父さんの言うことをよく聞いている。ま、思惑と違って泣いたりしていてもね。子供は、普段、親の言うことを聞かなくちゃいけないわけです。遊んでいる時くらい、子供ルールでつきあってやって、子供の言うことを聞いてみるのが良いと思います。