お別れするA君から、息子はちょっとした手紙などをもらった。
 私は私で、とても気持ちの整理がつかないので、自分の気持ちをたくさん手紙に書いた。二人の思い出が書かれた冊子があるので、そこから見つけた限りの二人の間での出来事をパソコンで打ち、記録として小さな贈り物をさせてもらった。
 お別れの日。ちょうど幼稚園が休みだった。引越し屋さんが来ている中、ほんの少し顔を見に行った。A君と息子は、道端でほんの少しふざけた。
 そして子供同士はあっさり「バイバイ」してしまった。A君は、ちょっと怒ったような顔をして、スネているようにも見えた。息子は、A君のママと「また必ず会おうね。」と指切りをしながら、ちょっと嬉しそうな、でも寂しそうな顔をした。
 この後から、息子は相当な葛藤を積み重ねた。
 幼稚園に行って、A君の物を見つけると、「これ、A君のだねぇ。」などとしんみりしていたらしい。「お友達いなくても平気だもん。」と強がってみせたり、「○△君とお友達になったんだ〜。」といちいち、ちょっと話しただけの子のことを話題にしてみたりもしていた。何とかA君に代わる存在を、と焦っていた時期もあったり、その後問題行動が出たりしたが、今はとりあえず落ち着いている。A君はA君。ほかの子とは、それなりに楽しければ良いと、やっと思い始めたようで、自分なりの楽しみ方を幼稚園の中に見出している。
 A君も、転園してから、登園する度にしばらく泣いたらしい。こちらの幼稚園のお友達に会いたいと言うこともあったらしい。
 それにしても、二人の思いが、私にはズッシリ重くて、息子の混乱した気持ちをスッキリまとめて絵本にしようと、すぐに文を作った。
 いつかきちんと製本して、親しい人たちには読んでもらいたい。
 絵がね。絵本描くほどには上手じゃないからさ、相当時間かかりそうだけどね。

 二人の思いは、今でもつながっていますよ。
 時々手紙をやり取りし、電話をして声を聞くこともあります。A君はあからさまに、意外と息子はすました顔をして喜んでいます。
 遠い所だけど、子供の間は、1年に1度位は行き来することでしょう。そのうち、自分たちの意志で自分たちなりのつきあいをするまではね。私もA君のお母さんに会いたいのでね。ちなみに、弟のK君もしっかりお兄ちゃんたちの遊びに加わってきます。「赤ちゃん得意じゃない」我が息子も、K君とは、意外とふざけ合っちゃって、ゲラゲラ笑いながら遊んでいることもあります。なーんか相性良いみたいね、息子は彼らと。
 それにしても、本当に大好きなお友達を見つけることができて、良かったね、息子。