映画について語れるほどに、さほど「映画ファン」ではない。
 確か16〜17年程前、映画をよく観ていた時期があった。当時は、兄が一緒に住んでいて、映画の大好きな兄に引きずられて、色々観たり、自分でもビデオを借りてきて観ることが多かった。
 兄は、その頃、ヒッチコックウッディ・アレンの映画が好きだったので、そういった類の、映画マニア好きのする映画も、割合目にする機会があったことを、今となっては幸運なことだったと思う。反面、兄はシルベスター・スタローンのアクション物も好きだったりして、彼は本当に心から映画好きなんだなあと今でもそう思う。
 私のはもっと軽いものだった。本物じゃないのね。だから、その後も続かないんだろうな。
 初めて観た映画は何だったのだろう。
 当時、アメリカニュージャージーに住んでいた私は、両親に連れられて、度々映画館に連れて行ってもらった。ビデオやDVDなどない時代だったし、テレビで映画を観るという習慣もなく、映画と言えば映画館に連れて行ってもらわないと観ない時代だったように思う。
 『未知との遭遇』では、とても怖くて観ていられず、母に「怖い。」と訴えると、目をつぶっておきなさいと言われ、母の膝に突っ伏していた記憶がある。その後、そこに出てくるような山を見ると、恐怖心が芽生えるようになってしまった。
 『スター・ウオーズ』も、『スーパーマン』も、刺激的でとても面白く思えた。ドキドキし、現実にあったことじゃないか?これからこういうことが起きるんじゃないか?世界のどこかにああいう人が生きているんじゃないか?と思ったりして、製作者の思うつぼにハマって楽しんだ。
 さらに、心に残った映画に『グリース』がある。ジョン・トラボルタとオリビアニュートンジョンが共演した青春映画だ。
 二人が恋に落ち、もどかしくもハッピーエンドを迎える単純な内容なのだが、ちょっとしたミュージカル仕立てで音楽も楽しいものが多く、大好きな映画となった。「……そうか!大きくなったら、こんな風に人を好きになって、こんな風に可愛く、セクシーになるんだ!」と、若干5歳の佳澄ちゃんが、幼心に憧れを抱いたものだ。思うに、この時から、私の「縁の下の力持ち」好きというのか、二番目くらいの役柄が好きだったなあ。
 で。大人になってから観ると、ちょっと失礼なことだけど、お腹を抱えながら観る羽目に。だって、すごく時代を感じさせるし、えっこれに憧れていたの?!という自分に対する脱力感で爆笑するしかなかったのだ。子供の頃も、大人になってからも兄と一緒に観た『グリース』。二人で爆笑して堪能したが、音楽はいまだに好きだ。
 そして、しばらくして一人暮らしを始めた兄のウチに遊びに行ったら、『グリース』のビデオが買って置かれていたことを私は見逃さなかった。
 あんなに笑っていたけど、やっぱり好きなんだな。ぬふ。……ま、お互い様ってことで(笑)。