人に優しくありたいなあとつくづく思った出来事があった。
 ある本の内容を知った時に起こった感情だ。
 もう10年以上も前の話になるが、当時、社会人となった知り合いが、その時の大学生を見て眉間にシワを寄せ、「最近の大学生は……。」と不満を言い出した。それが深刻なことなら熱心に議論したことかもしれない。しかし、その内容は外見のことだったり、自分たちが大学生の時にもしっかりできていなかったことだったりしたので、「あぁ、そうかなあ……。」と曖昧に返事してしまった。そもそもその知り合い自身も、「最近の大学生は」に当てはまるようなことを昔はしていたのでは?という疑問も出てきたり。それにまだ大学卒業して数年のこと。もっと年取ったら、今の何倍も不満だらけになって、いやなオバちゃんになるぞ〜っと行く末を案じてしまった(笑)
 そこがきっかけだった。自分より年下の、いわゆる「青臭い」「社会的に未熟な」人たちに対する客観性を持ちたいと思うようになったのは。自分だって、年配の方々からしたら、まだまだ青臭い、社会的に未熟で、若くてエネルギーが余っているという感じだろう。しかし、学生の頃や、社会に出たばかりの人たちのこと、結婚したばかりの人、子供ができたばかりの人。自分が経てきたものを、環境は違えど同じように経験している人。こういった人たちに対して、私は優しくありたいと思う。
 それは人を甘やかすということではない。親しい人限定なのが私の困ったところであるが(そこまで私は達観できない。達観しなければならないのかもしれないし、そうなるために努力するべきなのかもしれないが、投げ出すという意味ではなく、私は私の感情の器を知っているというだけだ。)、親しい人たちには、気持ちを開いてほしいと思う。それは甘えてもらうということだ。決して甘やかすことではない。子供に対してと同じことだ。誰だって、子供には甘えてもらいたいが、甘やかすのが良くないということはわかっているだろう。
 自分が経てきてそして、得てきたから、その得てきた物事をふりかざすのではなく、少しずつ得ていく様子を手伝いたい。見守りたいという気持ちだ。
 実は、ある本で、そういったことを強く感じた。そのことについては次回にまた書いていきたい。