「パパと結婚するんだー!」「大きくなったらママと結婚する!」
 なーんて、幼児の間だけ聞かせてくれる言葉ですよねぇ。ウチの息子はそんなこと言わないんだろうと勝手に思い込んでいた。
 乳児の頃はともかくも、我が息子は、たくさん話せるようになっても、男とか女とか疎くて、まったく意識的ではない。近所のお友達は、男は何色だとか、この色は女の色とか言ったりしているのだが、息子はまったくの無頓着だった。
 幼稚園に入ってみると、並ぶ時とか、お遊戯の振りとかで、男女分けられるし、トイレが違うしで、やっと「人間はどうやら男と女に分けられるらしい。」と気づいたようだが、まだまだそれでも無頓着だった。
 園内で仲良しとして手をつなぐのも男の子同士だったりするし、園の話をしても、女の子の名前すら滅多に出てこない。珍しく女の子の名前を出したと思っても「○△ちゃんが、こんなことしてたよ。だから‘だーめなんだ、だめなんだ’って言っちゃったんだ〜。」とか。こちらも「はぁ。そうですか。」てな程度で。
 最近はさすがに、温泉入る時や、トイレ行く時は「男の方」と、自分で選んで行くようになったけど。まあその程度ですな。年中さんになってからも、明らかに女性とわかる、可愛く優しいうら若き幼稚園の先生のことも「△□先生って、男?」とか聞いてたし。青も好きだけど、実はピンクも結構好きみたいだし。
 その息子が、人生ゲームにハマってしまった時期があったのだが、その中に「結婚」というマスがあって、そこに来ると、相方として別の色の人形を車に乗せることになっている。何十回やったことだろう。何十回もスタートからゴールまで行き、ある日突然「母さん、結婚て何?」と聞いてきた。……今まで何の疑問も持たずに「結婚、結婚」とやり過ごしてきたわけだ。今更ッスか?(笑)で、4歳の子供にも分かる程度に教えてやると、「ミツはA君が好きだけど、男同士だから結婚はできない。」とか言っている。疎いなあ、まだまだですなあ。と思っていたら、さらに「じゃあ、父さんと母さん、結婚してみたら?」とか言う。わはは!父さんと母さんは結婚してるんだよ〜!と一人でお腹を抱えて大ウケしてしまった。
 さらに数週間後、「ミツと母さんとで結婚するっていうのはどうかい?」と聞いてきた。とうとう言ってきたけど……何でそんな「上から目線」なのよ。どうかいって言われても。
 で、数日後、「じゃあ、ミツが大きくなったら母さんと結婚しようかなあ。」なんて言っている。やっとそこまで思考がたどりついたのね。んまーありがとう〜。でもミツが大きくなった頃には、お母さんはおばあちゃんだわ〜。「じゃあさあ、おばあちゃんになったお母さんと、大きくなってお父さんになったミツとで結婚するっていうのはできないの?」だって。
 「……。」まあ、そのうち好きな子もできるでしょうよ。今だけだわねぇ、そんなこと言ってくれるのはね。気持ちだけもらっとくわ〜。