ザ・クロマニヨンズ、と聞いてわかる人はどのくらいいるのかなあ。
 ハイロウズでどうでしょう?じゃあブルーハーツは?
 これは全部、甲本ヒロト真島昌利の二人、プラス他のメンバーから成るバンドの名前である。私が高校生の頃、バンドブームで、ブルーハーツというバンドがかなりの人気だった。「栄光に向かって走る あの列車に乗って行こう 裸足のままで飛び出して あの列車に乗って行こう 見えない自由が欲しくて 見えない銃を振り回す 本当の声を聞かせておくれよ」といういかにも十代、思春期の子がハマりそうな歌詞で、『トレイン・トレイン』という曲が有名だ。私も高校二年生の時、思春期特有の気持ちを背負いこんでいたので、「いかにも」に乗って共感した。大好きでしたねぇ。人間クサイ、青臭い感じ。まだ大人になれない、なりそう、なりたくないけど、なりたい、もっともっと何かが足りない、何かをつかみたい、という様々な矛盾を抱えて訳のわからない葛藤のような塊をいつも抱えていて。ま、健全だったんですな(笑)
 そのうち、段々気持ちは落ち着き、そういったものを脱して違う歌詞に引き込まれ、違うミュージシャンの魅力がわかり、大人になっていった。そんな私の気持ちも象徴するように、彼らが幾ら年を重ねても、彼らのファンはいつだって中高生だと言う。それだけ、思春期の気持ちが言葉になり、音楽になり、多くの10代の心をつかむのだろう。
 今、そういった頃の曲を聴いて、不思議なのは、いやな気がしないということだ。10代の頃にハマっていた音楽というのは、青臭くて気恥ずかしくて身の置き場がなくなるような歌詞や曲もある。しかし、彼らの作る曲はいつ聴いてもそんな気分にならない。
 彼らの曲を聴くのには、時にエネルギーが必要なこともある。ごくごく単純でわかりやすいメロディなのに、それだけパワフルな音楽だからだ。魂の声がよく聞こえるようにと意識しているのかはわからないが、できるだけ綺麗に歌わない甲本ヒロトの素朴な歌いっぷり。ロック全開の楽器のサウンドを聴くのにはエネルギーが必要だ。
 ところが、元気のない時に聴いて、エネルギーをもらうこともある。
 不思議ですね。彼らの曲は、心の不満や怒りを表現していることもあるからか、エネルギーが必要で、なのにエネルギーをもらえることもある。最近また彼らの魅力にハマっています。