A君と息子だが、年少の時から本当に仲が良く、幼稚園の中でも手をつなぎ、先生たちが「仲が良いですよねぇ。」と笑ってくれるほど、度々一緒にいて、フザけ合ったりしていた。
 息子が風邪をよくひいて休むと、A君とそのお母さんは、近くの神社で「早く治りますように。」とお祈りしてくれたり、お見舞いに来て、様子を伺いに来てくれた。息子が休むと決まって寂しがってくれたし、息子が朝、靴箱でお別れがいやだと泣いて、私が困っていると、先生を呼びに行ってくれた。私にとっても情緒豊かでスゴク可愛い、心強くありがたいお友達だ。バス通園じゃない頃は毎日、幼稚園が終わると、園庭で長い時間遊んだ。
 微笑ましい光景ではあったが、息子はA君がいない時、どうするのだろう?という不安は少しあった。それにA君のお父さんは転勤族だ。いついなくなるかわからない。そんなにA君を支えにしていたら、今後A君が転勤でいなくなった時、息子は随分ストレスを抱えるんだろうなとか、我が家が転勤になったらとか、例えお互い転勤にならなくても小学校入ったら別々の学校になるから、その時のストレスは、とか考え始めるとキリがないようだった。
 しかし、A君も、息子も、お互いがお休みだったりした時はそれなりにそれぞれ別のお友達と、それなりに遊んでいたらしい。
 さて、改めて。自分の子供の頃のことを思い返してみて下さい。
 ケンカすることなんか、山ほどありませんでしたか?
 誰かお友達に「嫌い」と言われたこと。そんなに言われなくても「そんなのズルイよ。もう良い!」とプイとされたこと。「○△ちゃん(自分のあだ名)はいやーだ!」「入れてあげない」と言われたこと。自分も覚えてなくても、相手に対してそういうことをしたかもしれない。でも子供って、その子が嫌いだったり、避けられたりしても、次一緒に遊べたらそれはそれで良いんですよね。私も好き嫌い激しかったんで(今でもだけど)、嫌いな子は多かったが、別にその時遊べたらそれで良かった。それに、そんなこといちいち親に言わなかった。だって、日常茶飯事なんだもの。親は介入してこないしね。介入して来ない方が良いと思うしね。
 でも、息子は大好きなA君に言われてのことだったからなのか、相当なショックを受けたらしい。そしてそれが中途半端に、本当のことと思い込みとが混ぜこぜになって、こちらの心配を余計にあおるのだ。
 そんなのこれからの人生山ほどあるし、何よりこれからはもっと辛いことが待ち受けているんだよ。そんなことでいちいち号泣して、ウチで不機嫌にならないでよ、と言いたい気持ちをグッとこらえた。心理学でも勉強したじゃないか、ただ子供の気持ちに共感するだけで、子供は癒され、自分で立ち直る力を身につけると。その後の友達との仲は、子供同士で解決するなり、相性によって離れたり、くっついたりするものだ。だから、親は口出ししないで良い。ってわかっていてもだね、気になって仕方がなかった。
 そのうち、A君の方から「一緒にあそぼ」と言ってくれたらしい。想像するだけで微笑ましい、可愛い光景だな。まあケンカしたら良いんじゃない?って思う。我が息子はまだまだ精神的にヤワだ。もっともまれてくれい。