ユニコーンをいまだに、時々聴く。
 初めて聴いたのは、高校生の時。女子校だったので、私のことを慕ってくれる下級生の子がいて、その子が「ユニコーン大好き」だった。「聴いて下さい。」と言っていたが、ちょろっと聴いただけで「変な音〜。変な和音〜。」と思い、しかも歌詞も特に共感できるものではなかった。高校生の頃の私は、もっと自分の気持ちを投影したような歌詞が好きだった。だから、ベタだけど、ブルーハーツとか長渕剛とか。高校を卒業する頃から、段々変わっていったけどね。
 それでも、ユニコーンの曲を耳にすることはあった。ダウンタウンウッチャンナンチャンがやっていたコント番組「夢で逢えたら」のオープニングで流れていたり、その中で、ダウンタウンに楽器の演奏を教えていたり。
 夫と知り合った時に、お互い音楽の好みが似ていることに気づき、夫に奥田民生を勧められた。「やっぱり変な音だ」というのが第一印象だったが、すぐにその音楽にハマった。そして、ユニコーンのベストアルバムを買い、改めて聴くことになった。それを今でも時々聴く。
 その時に感じるのが、奥田民生のパンチ力だ。当時の彼の音感は、今ほどではないように思う。ちょっと歌っている音がハズれたり、リズムも走ったりする。もちろん当時から音へのこだわりは並々ならぬものであったとも思うが。
 無難に歌うことをせず、かと言って変な癖や個性を無理に出そうともしない。でも、表現力は抜群なのだ。表現力と言っても、表情を作ったり、感傷的な歌詞を書いたり、動作をつけたりすることではない。声や歌い方。パンチ力。声の張り、伸び、そして抑えるところを抑える。歌の雰囲気、ムード、オーラを作る。単調で飽きる、ということがない。
 10年以上前の、まだ奥田民生が青臭い頃の表現力も素晴らしかったが、ユニコーンの頃からそれはあった。天性のものと言えるのだろう。淡々と歌って見える奥田民生だが、心の中に沸き立つものを、ギターで表現し、音で表現し、声で表現する。一見、穏やかに見える彼の歌や歌い方の中に、私はものすごい激しいパワーを感じる。若ければ若いほど、それはわかりやすく表面に出ていて、ユニコーンを聴いていると、ふとそのエネルギーを感じる。それを感じた時に、すごいなあと思うのだ。そういったことも、彼の活動が続いている所以だろう。