さて、私の周りが岡村靖幸の魅力がわからない人ばかりではない。
 もちろん最初に、家でCDかけてくれた友達もいる。高校3年生の頃に彼の音楽にハマり始めた頃、丁度同じ駅から通う同級生が、同じく岡村靖幸の良さをわかってくれる友達だった。私の中学から大学は、電車に乗っている時間だけで30分、乗り換えや歩く時間を入れると1時間半近くかかっていた。ほとんどの友達は学校に向かう途中に後から乗ってきて、帰る途中で先に電車を降りた。そんな遠い通学距離を毎日こなし、しかも音楽好きの私としては、「ウオークマン」は手放せなかった。今はCDとかi-podだけどね。当時は、カセットテープに好きな曲をダビングして、それを再生して聴く。高校生の頃と言えば、よく本も読んだが、それでもウオークマンを聴きながら、なんてこともあった。
 そして、珍しく同じ学年に、同じ最寄の駅の子がいた。その子がまた音楽の好みが似ていて、一緒に曲を聴きながら(イヤホンを分けて使うんですねぇ)通学することもあった。どの曲が好きだ、なんて言いながら。他にも特に気が合う!というわけでもなかったが、一緒に音楽を聴いて電車に乗っているのは楽しかった。
 あっ、当時通っていた女子校は、お嬢さん学校で、ウオークマン持って行くのはダメでしたよ、本当は。まあ時効ということで(笑)私も生活態度が比較的真面目だったので、先生も見逃してくれていたというか、最寄の駅が学校の駅から遠すぎて見つからなかったというか。
 お陰で岡村靖幸の曲を堪能し、そのうち大学生になり、高校時代からの親友も時には聴いてくれるようになった。彼女がまた面白くて、よく物真似をして笑わせてくれた。「○△×□……って言ってるよねぇ。」とか「やめろ〜!だって!」とか言いつつ、彼女も結構聴いてくれた。今でも岡村靖幸の曲を聴くと、彼女の声がかぶって聞こえてきます。アハ。ご当人、わかりますか?アナタのことですよ〜。
 そして、さらにそうやって聴き続けたお陰で、私は夫と合うことがわかり、話が盛り上がり、その果てには奥田民生の世界にまで入れてもらうことができたのだ。