ところで、胃の話も欠かせないので、そのことも書いておこう。
 胃が丈夫ではないのはとても残念で辛いことだが、それによって、私にとっての名医と出会うことができた。
 つわりの時ももちろんひどかったのだが、ストレスがあれば、まず胃に来る。精神的に負担がかかると、メニエールより前に、胃がムカムカしてきて、調子を崩す。

 札幌に住んで間もなく、様々なことが原因で、胃潰瘍を患った。
 寝ている時、胃の裏の辺りの背中が痛くなる。痛いなあ辛いなあと思い、とりあえず内科を受診することにした。近くに新しく内科ができたので、早速足を運んでみた。女医さんである。
 その女医さんが、今や私にとって素晴らしい先生なのだ。とてもよく話を聞いて下さり、またきちんと体質までをも探ろうとしてくれる。そのお陰で、薬がどれもピタリと効く。話しやすい雰囲気なので、合わないことがあると、率直に言うこともできた。不安なことがあれば、何でも言える。いつも的確な診断に、すっかり私はこの先生に頼ることになる。
 夫にも勧めた。
 結婚する前から、丈夫ではない私にとって、夫の自分自身への健康に対する気遣いは「驚異!」と言うべき無頓着さだった。それが、私の度重なるダウンで、段々と健康に興味を示すようになり始め、さらに私が栄養のことを色々言うものだから、関心はいやがおうでも高まっていったようだ。
 そして、やはり背中が痛むという夫に、近所の女医さんを紹介して通わせると、十二指腸潰瘍が見つかった。
 ……私よりひどいじゃないか!
 今でも、この女医さんにお世話になっている。現在住んでいる所で、まだ私の体質をしっかり把握しようとしてくれる先生がいない。ので、どうしても薬が合わない時、体調が戻らない時には、その女医さんに連絡をし、薬をもらっている。札幌に行った時も、大抵はそこに立ち寄り、現在の症状を話し、その時に合った薬を処方してもらっている。
 明るく優しい方なので、精神面でも助けられていて、本当に心から頼れる先生なのだ。おそらく、私より10歳位年上なのだろう。一人息子もいて、私の立場もよく理解されている。何度この先生に助けられたかわからない。そして、ちょっと厳しいことを言われることもあり、その絶妙なバランスに、いつもしてやられるのだ。