昼過ぎに、息子の乗って帰ってくる幼稚園バスを、待っている時にふと感じたことがある。
 朝、迎えに来る幼稚園バスを待っている時、息子は一緒に待つお友達と、すぐそばの公園で遊ぶことがある。たった数分なのだが、ブランコに乗ったり、鉄棒にぶら下がったり、滑り台を下りたりしている。そしてバスが見えてきたよ、と呼ぶといつもの場所まで戻ってくる。
 幼い頃の私も、遊具が大好きだった。ジャングルジムをのぼり、滑り台からは何故か飛び降り、ブランコにはがむしゃらに乗っていた。何だかわからないけど、ブランコがむちゃくちゃ好きだった。小学生高学年になると、うんていを二本飛ばし、登り棒もすぐにのぼりつめ、タイヤ飛びを飛びまくり、自分より背の高い鉄棒で逆上がり。そしてやっぱり何故かブランコが大好き。休み時間のチャイムが鳴ると、友達と一目散にお目当てのブランコへと乗りに行き、立ちこぎで、もしかしたら180度超えているかもというくらいに、こぎまくる。
 ところがですね、高校生の頃、鉄棒をしてみると、逆上がりができなくなっている。ちょっとした衝撃を受けたのだが、もっと驚いたのは、さらにもう少し大きくなってから、ブランコに乗って酔いそうになった時だ。
 あんなに好きだったブランコが、こんなにユラユラ揺れてひえ〜……。
 でも、息子が乗るので(息子は滑り台好き)、一緒にブランコ乗っていると、少しずつ慣れて、また楽しくなってきた。楽しくなってきて、思わず勢いをつけたくなるが、調子に乗るとまた酔いそうなので、我慢。やっぱりブランコは楽しいな。楽しいのだが。
 例えば、息子を待つ数分の間、ブランコに乗るかと言ったら、そうではないわねぇ。まあそんな大人見たことないけどさあ。でもしようと思えばできるわけですよね。できるけどしない。したって良いのにしない。カッコ悪いから?……じゃないもんねぇ。何故でしょう。大人になると、その数分を、わざわざブランコ乗って埋めようというのか、折角待っているのだから楽しもうというようなそんな気持ちは湧いてこないわけだ。もっと面白いことを知っているから?それほど楽しいことじゃないと思っているから?ちょっとの時間待つだけだと知っているから?
 どれもピタッとこない。ちょっと退屈だなという気持ちを抱えながら、何分も立ち尽くして待っているわけだ。面白いですねぇ。不思議ですねぇ。