よく書いている「心のメカニズム」について、心理学者やカウンセラーたちの書いた本を読み、私なりの解釈を書いてみたい。
 「例えば何かショックなことが起きる→何かを感じる→時間が経ち落ち着く→どうするか考える→行動する(行動しないことも含めて)」などという順序で、人は何かが起きてから、行動するまでに色々と経る。※これはあくまでも私の仮定です。
 さて、どうするか考え、行動するのは、その人の個性や選択によるものが大きい。その人の意志一つで、どうにでもなる。しかし、最初の段階、何かが起きた時、何かを感じる、それが心に何かしらの影響を及ぼす、この反射的なものが心のメカニズムだ。
 これは理屈ではない。感じてしまうのだ。何度も書いているように、それを感じないようにしようとか、大袈裟に考えないようにと、自分を一生懸命奮い立たせ、抑圧することは、その場をしのげても、長く引きずることになる。
 それで、とりあえずはその後、傍目から見てどんなものであれ行動を何か起こすわけだが、ある感情は湧き上がってしまう。それを、表に出さず、自分の中に閉じ込めておくと、それは怒りや悲しみとなって蓄積される。そして何かの時にふと思い出して、再び苦しむことになる。それは時期が遅くなればなるほど、苦しみが増し、歪んだ形として出てくるので、周りの人には、何がそうさせているのか理解されない。そのため何かを感じた時、それをできるだけ早い段階で言葉にし、感情を表出してしまうことが大切なのだ。
 そういった感情のメカニズムを理解せず「何故あの人はあんな対応なの」「今のが原因であんなことをした」と、単純に、直接的に考えると、腹が立ったりして、人間関係の亀裂は簡単に入ってしまう。かく言う私も、人の好き嫌いが激しく、合うと思ったら信頼して、少々のことでは嫌いにならないのに、合わない、嫌だと思うと、すごく嫌いになってしまう。ただ以前と違うのは、多分この人の根本的な考えはこうで、それでこんな風に言ってしまうんだなあと憶測できるようになったこと。
 さらによく、違う選択があっただろう、違う生き方があっただろう、それを自分で考えることができただろうという人もいる。しかし、それは、上の仮定で言うと、後半部分だ。私が言いたいのは、その前の段階だ。どんな選択をし、生き方をするかは大切だ。しかし、ある人がある行動をした時、それが自分には不可解だった時、その前の段階の「起きてしまった感情」にまで思いを馳せた方が良い場合もある。そうすることで、必要以上に自分のその人に対するストレスを抱え込まずに済むし、自分の気に入っている人なら少しはその人の心を知る役に立つ。
 その人と付き合うというのは、その人を知るということだ。その人を知るには、その人の感情を分かち合うことだ。それは、技術ではない。一緒になって感じることだ。社交の場で「うまく」振舞えるかどうかなどで、お互いを信じあえるかどうかは計れない。
 よく感じよう。それを自覚しよう。自分の感情に意識的になろう。何を感じているか、どう思ったか。それを消化していこう。それが心の健康を保つコツだ。消化されないことには、いつまでも横に並んでついてきて、何かの拍子に奇妙な形で出てくるのだ。