前回書いた、「井上陽水奥田民生」が対談していたテレビ番組で、もう1つ、失礼ながらも、可愛いらしいなあと思った場面があった。
 二人の対談中に、何度か出てきた会話なのだが、奥田民生の方は、どうにも音楽のこだわりが垣間見れてしまう。彼にはどうしても、音楽を聴いてくれ、自分の作った曲はどうだ、という自負がある。キミたちにわかるかなと内心思っているだろう。しかも誇示しないから、軽く聴いただけでは、その難しさがわからない。
 それに対し、井上陽水はもう突き抜けてしまっていて、皆が喜べば良いじゃない?っていう力の抜けっぷりなのだ。そしてそれを聞いて「うぬぬ……オレはまだそこまで突き抜けれないぞ。」というちょっと敗北感のような顔をしちゃうのだ。いや、別に敗北なんか感じてないにしてもだ。テレビを見ている私たちの「おぉこのオッサンはもうそんな気持ちにまで到達してしまっているのか、自分にはまだそんな風に思えない。」と思う気持ちを、奥田民生は「君のそんな考え方に対して、僕はどう反応したら良いのか」という何とも言えない表情で示してくれるのだ。それが可愛らしかった。
 どうにも、自分の感情が顔に出る人に、私は魅力を感じるらしい。ソツのない人、うまくやれる人は物足りないというのか、人間的につまらなく感じてしまうんですね。