引っ越してきた環境が、あまりに子育てに向いていないので、やむを得なく、自分でサークルめいたものを立ち上げた。
 ウチの子は、昨年から幼稚園に入ったけど、そうでない子たちを持つお母さん方はこの、子育て支援のめちゃめちゃ遅れている地方で仲間もあまり作れず、追い詰められているに違いない。
 で、集まりは1年以上続いている。人に声をかけるのに力を入れてくれる人がいる。集まりを熱心に支持してくれ人がいる。そして、私の子育てや健康に関する愚痴を聞いてくれる人がいる。
 集まりの理想として、何かをしなければいけないというものではなく、決められた時間の中で、何時に来ても何時に帰っても良い、自由に談笑しようということがある。札幌に住んでいた時に、夜泣きで苦しんでいた私は、規則正しい生活を送ることができなかった。なので、この時間の間なら、いつ来ても良いという児童館の存在は本当にありがたかった。児童館に行くと、ただ子供を遊ばせているだけだ。その中で何となく喋る人ができたり、ただ子供と外の空気を吸って気が楽になったり。時には保健師さんが来て、子育てについて色々相談することもできる。
 今住んでいる所に来た時、そういった所があまりに少なく、親子の息抜きする場所がないことに絶望を感じたものだ。「子供連れが見当たらない。子育て支援が少ない。お母さんへの周りの目が冷たい。」と夫に泣きながら電話をしたこともある。
 その後も、保育園や周りの人々の冷たさに、悔しくて悔しくて、何度か夫に泣きながら電話をしてしまったことがある。公共の場の、あまりに大人本位なだけの貧相な施設。
 今の幼稚園に入る前に、子育て支援の場所として、その幼稚園が2歳から(現在は1歳半から)預かり保育をしていることを知った。そこで、事務の方、そして先生方の温かい対応にとても救われた。なかなかのマンモス幼稚園なのだが、スタッフの方々の心遣いはきめ細やかだ。
 そうやって、少し気持ちに余裕ができた私は、ここのアパートの人たちと支えあわなくては、という強い気持ちができて、めでたくというか、仕方なくサークルを立ち上げた。そうしか、自分のすることはなかったような気さえしたのだ。