中学、高校時代にそれなりにお笑いを楽しんだ後。
 私の趣味は、それからがまた特殊だったかも。
 兄の影響で、映画をよく観たのだが、トム・ハンクスのファンになった。母がジャック・レモンのファンだったので、その血筋かなあ?ジャック・レモンの可笑しさ、彼独特の醸し出す味は本当によくわかる。私も少し時代がズレていたらジャック・レモンの大ファンだったかもしれない。
 私の場合は、コメディ映画を観て、トム・ハンクスを好きになった。初めて見たのは、電車で向かいに座っている人たちが『ビッグ』のパンフレットを熱心に読んでいる時だ。劇場公開されていた『ビッグ』だが、そのパンフレットの顔が、私にとっては人形みたいで気持ちが悪く、印象が良くなかった。でも、大学の先生に勧められて、ビデオになった『ビッグ』で、大ファンになった。少年の頃を演じていたから、余計に魅力が全開だったのかもしれない。いわゆる「少年ぽさ」を見て。でも、その後にも色々ビデオを観たが魅力を感じるばかりであった。人を笑わせている人って、色気があるんですよ。
 彼の動きや喋り方も可笑しくて仕方がない。映画雑誌『スクリーン』にも何度も投稿し、その度に自分の文が載った。きっとトム・ハンクスファンなんて、少数派で、投稿も珍しかったのだろう。
 そのうち、またアメリカに渡る機会があり、そこでのシチュエーション・コメディにいつも大ウケしていた。バカバカしくて面白いものが多かった。さらに、「サタデイ・ナイトライブ」が大好きだった。英語が難しくてわからないこともあったが、とにかく夫と笑い転げたものだった。お気に入りのコーナーも幾つがあった。ただの下品なコーナーや、日本なら教育委員会からクレームでもつきそうな物もある。でもこの番組は、ハリウッド界の数々のコメディアンを育てた番組であり、政治や社会に対する皮肉も多い、質の高いものであった。