さて、激しい後追いや抱えきれないほどの重過ぎる甘えもおさまり、言葉が話せるようになってから、それまでは無頓着だった私も、さすがに息子にはテレビがさほど必要ではないと、判断するようになった。
 一人の時間がほしくなってきたらしく、コトコトと忙しそうに遊びの世界に入り込んでいることがある。音楽を聴くのも大好きなようで、一人で体を揺らしたり一緒に歌ったり、ギター、ハーモニカ、ドラム、ピアノなど、時々タンバリンも加えつつ、でたらめに演奏しながら聴いている。料理中も、息子なりに楽しんで遊んでいてくれるようになったし、必要とあらば何やら話しかけてくれる。
 食事中も何も言い出さなければテレビのことは言わないので、私も言わないようにして、テレビをつけずにいる。ところが気がつくと、私は黙々と食べてしまうのだ。まあ昔は「食事中はお喋りをしてはいけない」なんて言われたもので、家庭によっては誉められたことなのでしょうけどねぇ。こういうのって時代によって、色々ですね。
 で、私はそういう家庭ではなかったのだが、食べている時にあえて何か話すという気持ちにならない。何か話題を出そうと考えて、思いつかない時はせいぜい「これおいしいねえ。これって○△なんだよ。」てなもので、食べ物の話題くらいだ。夫と何か盛り上がることは度々あるが、話題がないとやっぱり黙々と食べ続けてしまう。それに引き換え息子の方は、気負いなく、色々とお喋りしてくれる。それに受け答えしたり、私も調子に乗ってフザけたりしていると(食事中にフザけちゃダメか)、何だかんだと結局賑やかになる食卓なのだ。
 息子は、4歳にして、既に食事の楽しさ、楽しみ方を知っている。羨ましい。そして嬉しい。私はそんな風に育てた覚えはない。これって否定的な感情を込めて言うのかもしれないけど。ハハハ。
 だってすごく嬉しかったんですよ。私の作った料理を、私のいない所でも「おいしいね」と言ってくれてるんだーって。周りが言っているわけでもないのに、一人で言っている様子を想像して、ちょっと大袈裟だけど‘生きてて良かった’と思った(笑)。 ちなみに、年度末に幼稚園のアンケートがあってですね、「美味しいお弁当は?」という質問に対して、息子は「おにぎり!」と答えてくれましたよ。アハハ〜頑張って調理した物じゃないのね〜おにぎりだなんて、ただ具を入れてご飯を丸めた物が良いのね〜と随分拍子抜けしましたわ。
 しかし、そういった様子をお母さんに話してくれた友達の子供にも、さらにそれを私に教えてくれた友達にも感謝です!!