4歳の我が息子は、食いしん坊である。
 好き嫌いは多少あるが、お腹が空いてさえいれば、出された物は何でも食べる。
 まだ上手に食べることができない頃は、うどん一本でも落とすと、レストランで悔しがって泣き喚いた。あまりにうるさく、周りに迷惑なので、うどん一本ごときで、レストランを少し出て彼の気分を紛らわせたりしなければならなかった。また、風邪で体調が悪いと、食事を摂ることができない。そんな時の彼も、皿の上のおかずを長い間、恨めしそうに眺めて、‘食べられない自分’に対してとても悔しがっている。
 少し体調が悪い時もわかりやすい。やはり子供。野菜を後回しにするので、食欲がないと残してしまう。でも普段は何でも食べるので、野菜が残ると、「ああ、体調が悪いのね」とこちらもすぐに納得できる。
 時には、おやつの時間に張り切りすぎて、お腹いっぱいになってしまい、晩御飯があまり食べられないこともある。少しずつ自分で学んでいっている最中だ。そんな時の私は、落ち着いて対応できることもあるし、もちろん苛立って怒ってしまうこともある。野菜食べなくちゃ元気になれないよ。強くなれないよ。色々グチグチ責めてしまったりして。
 
 幼稚園では、給食と弁当が一日交代。給食のメニューは栄養のバランスと、子供たちの好みのことを、なかなか上手に考えており、調理法にも気を使っているようだ。いつもおいしそうなメニューが並んでいる。
 一方、弁当はといえば……。最近、タレントのお母様方が、自分のお弁当の写真をテレビで見せてくれますよね。雑誌でも可愛いお弁当がたくさん。栄養云々より、とにかく食べてくれ〜!という母親の願いが込められていて、私にとってはその気持ちが温かく、微笑ましい。そして何よりも可愛く作ってあるので感心する。手間がかかっている感じで、朝早くから起きて可愛いお弁当を我が子のために作ってあげているのかと思うと、頭が下がる。子供が女の子だと、私もそうするのだろうか??いや、男の子のお母さんでも頑張っている人はいる。ウーン。ちょっと想像しただけで面倒臭いなあ。皆よく頑張るなあ。
 私の幼い頃は、風邪もひきやすい上に、好き嫌いがとても多くて、母親は食事メニューに苦労したことだろう。帰国子女なので、お弁当はなかったが、もし日本の幼稚園へ通い、お弁当を持って行っていたとしたら、どんな内容の弁当だったのだろう。小学生の時は、ランチボックスを持って、いつもサンドウィッチを入れてもらっていた。大好きな卵サンド。母に「時には違うのにしてみたら?」と言われても、好き嫌いだらけの私は「卵サンドが良い」と毎日飽きもせず持って行っていた。ゆで卵とピクルスを刻みマヨネーズで和える。飽きなかった。今でも卵サンドは大好き。
 ちなみに、中学生頃には、好き嫌いの少ない食いしん坊に育っていたので、その頃の弁当は、力強かった。女子校だったので、量が多くても、内容がちょっとくらい男らしい弁当でも、誰にもからかわれることはなかった。量はさすがに「すごいね〜」と笑っている子もいたけど。悪意はない感じだったので、私も気にしていなかった。