4歳の息子に、甘えが一時激しく出ていた。
 よく、親が第二子やそれ以降の子供を妊娠したと気づくか気づかないかのうちに、上の子は第六感が働いて、赤ちゃん返りがあると言われますよねぇ。
 でも、私は明らかに妊娠していない。なのに、なんで〜?って思うほど激しかった。
 まず、一人で行けたはずのトイレに行けない。必ずついてきてと言う。
 息子は、お父さん大好きで、普段はお父さんベッタリなのに、こういった世話役は母親の役割になっている。だから、いちいち私がついて行かなくてはいけない。ついていくと、今度は「手を一人で洗えな〜い。ママと一緒じゃないと洗えな〜い。」とか言う。ナヌ?!―と最初は思ったが、面倒臭いながらもつきあうことにした。
 そもそも、ウチは「お父さん、お母さん」と自分たちのことを呼んでいたので、息子も「父ちゃん、母ちゃん」と言っていた。なのに、それも4歳前後に「パパ、ママ」と言うようになった。慣れない私たちは、自分たちで自分たちのことを呼ぶ時は、やっぱり「お父さん、お母さん」と言っている。
 そして、トイレから出ると「ズボンをはかせて〜。」だ。
 ……なんじゃそら。
 でもまあそういう時期なんだなあと思い、ヘイヘイと返事しながら、ズボンをはかせる。そうするとデレ〜としがみついてくる。おまけに急に「おっぱい」に執着し始めた。私は、自律神経失調が激しくて、母乳を泣きながらやり、そのあまりの苦しさ辛さに、折角よく出たのにたった1ヶ月で断念しなければならなかった。そのせい?いや、逆か?わからん。そんなところに理由はないのかもしれん。とにかく、おっぱい見たいだの、飲みたいだの言ってギューと触ってくる。痛いっちゅうねん。
 究極は、「赤ちゃん抱っこして。」だ。横抱きをしろと言う。17.5キロもある巨体を、むおおお!とうめきながら横抱きして、トントンたたき揺らしてやる。そして寝る前は私の上に乗ってネンネだと言う。「抱っこでネンネ」は、今の彼の体のサイズでは、さすがにちょっと寝にくいらしく、途中で降りる。でも横に下りてもしがみついて寝ることがある。
 夜中は、途中で目が覚めて私がのほんとテレビ見てたりなんかしたら、いない!と泣いて呼びに来る。いないことを怒っている時もある。私がいたらいたで、わざわざこちらの布団に出張して寄り添って寝る。
 これを赤ちゃん返りと呼ばずして何と言おうか?