お笑い好きなのは、何でだろう〜。と考えてみた。
 女性の中にはまったく興味のない人もいるよねぇ。多分、下品とか、ちょっと暴力的なところやいじめの場面を連想させるとか、人をバカにしているとかそういうことなのかもしれない。個人個人の考えがあるだろうから、わからないけど……。
 私もお笑いが好きとか言いつつ、体張ったヤツは、よーわからん。男の人は、単純に笑えるそうだけど、痛々しくってねぇ。それが笑えるというのがどうにも……。下品なのは、程度によるかなあ。その人の人柄とかね。まあ兄がいるせいにしちゃってるけど、ワタクシ下ネタはちっとも構いません。夫ともゲラゲラ笑って見ます。でも、人柄としてもネタとしても、あまりにひどかったら面白くない、笑えない……と引いてしまう。
 でも、お笑い芸人は、人をバカにしているという解釈は違うと思う。自分がバカに「なって」人を笑わせているのだ。本当の自分を差し置いて、バカを演じ人に笑ってもらう、人を笑わせるという行為が、どれほど人を救っているだろう。すさんだ気持ち。貧しい気持ち。悲しい気持ち。そして病気。
 それが、演技としてとても高度なものも求められるし、どんな表情や雰囲気を周りに求められているか、それを瞬時に判断して表現する瞬発力もある。又、とても練られた技術的なものもあるのだから、バカにしているとは思えない。特に上手な人ほど、あらゆるものを感じさせないで、単純に笑えるように話やネタを持っていってくれる。
 経験も積まないと余裕や落ち着きもない。又、周りに対してだけでなく、自分に対する鋭い客観性も欠かせない。人のことを笑っているだけでは、ユーモア精神があるとは言えない。自分のことをどれだけ笑いに変えられるかが彼らの力量の見せ所だろう。ど素人の私でさえこのくらいは考えが及ぶので、当人たちの考えていること、作り上げること、練ったもの、積み上げてきたもの、など様々な葛藤は相当なものなのだろう。そして、それを決して表に出さずにただただバカやってるように見せるのがお笑い芸人だ。
 後は、咄嗟にその場の緊張感を和らげる働きもしている。それがうまくできなかったりしたら、それもそれで人間臭さとなって、周りの人に安心感を与える。うまくその場をしのげない時、失敗している人、を目の当たりにした時、夫と二人、「ひでぇ〜」と言いながら笑っている。そういう場を、夫婦で笑ってやり過ごすことで、見ている側の気持ちもほぐれるものだ。
 自分を笑い者にしてしまい、人間らしい部分を出してしまえる優しさと強さを、お笑い芸人の中に感じる。だから、お笑いは大好きだ。「いかにも」な美談が好きじゃないからかもしれないなぁ。