あなたの子供さんはよく泣きますか?或いは以前よく泣きましたか?それともあまり泣かずに手がかからない方ですか?兄弟がいれば、上の子はよく泣いたのに、或いは泣かなかったのに、下の子は……と比べることもあるでしょうね。
 我が息子は、泣き虫な方ですが、前はもっとひどかった。心理学の本を読み始めた理由は色々あるが、小さなきっかけの一つに「息子が泣いてばかりいる」ことがあった。
 慰めたり励ましたり、叱ったり突き放したり、あらゆる方法をとっても泣き止まない。
 そういえば、夜泣きもひどかった。あくまでもマニュアルの中の出来事だが、一般的には、0歳7ヶ月頃から始まり1歳頃には終わるという夜泣き。息子は3ヶ月には始まってしまった。そして延々2歳半まで続いた。全盛期は(一年位だったかな)10分〜2時間毎に起きて、そのうち一回は2〜3時間ぶっ続けで泣く。そりゃあもうあらゆる方法を試しましたとも。雑誌、人からの助言、TV、インターネット、すべて調べて得た情報、何やっても効果なかったですね。寝グズリもひどかったし、起きてからもグズグズ機嫌悪く、台所に立つと抱っこするまで30分でも平気で泣いていた。さすがに30分位が私のリミットで、お互い気分が滅入るので抱っこしないわけにはいかなかった。しかしおんぶしながらの家事も30分位が限界。そして置く。泣く。
 その息子が1歳半頃からかんしゃくがそれまでより一層ひどくなってすぐヒステリー起こし、さらに2歳半頃になると反抗期。
 手に取ったのは『心を抱きしめると子育てが変わる』(萩原光著 主婦の友社)、『ダダこね育ちのすすめ』(阿部秀雄著 中央法規)、『子育てがずっとラクになる本』(パティ・ウィフラー著 森田汐生監訳 安積遊歩解説 学陽書房)。
 どれもカウンセラーが書いた本で、子供の心について、通り一遍の一般的なことが書いてあるのではない。カウンセラーが実際に接してきた親子について、そしてそれを通じて改めてわかった親や子供の心の内について書かれてある。多くの親子や赤ちゃんを目の前にして、心理学者として、カウンセラーとして、実感してきた‘人の心のメカニズム’についてだ。その人の考えていることや背景まではわからなくても、人の心のメカニズムは同じだ。共通するのは「泣くのは悪いことではない」「気が済むまで泣かせる方が良い」ということである。
 場所や人目が気になれば、移動すれば良いだけの話だ。
 泣くことが良くないことだというのは、自分たちの親から植え付けられた固定観念である。泣くことは弱い証ではない。心が強くても、泣くことはある。大人だってそうだろう。泣きながらでも頑張れることがあるだろう。泣くとすっきり落ち着いたり、その後を頑張れたりすることもあるだろう。親から「泣くな」と言われて育った私たちが、子供が泣くことに対して真正面から対応するのは大変なことだが、その大変さと覚悟こそが子育てではないだろうか。