さらに『心の痛みのセルフコントロール』(ジョン・プレストン著 大野裕監修 岩坂彰訳〜創元社〜)に、こんな記述がある。
 「この15年ほどの間に、神経学の領域で急速に技術革新が進み、様々な神経心理学的検査の素晴らしい新技術により、脳と行動に関する新しい理論が表れてきたそうだ。
 ごく幼い時期に明らかになる性格特性はたくさんあり、それは大人になっても性格の核として残る。このような特性は‘学習や経験にはほとんど関係しない’。生物学的気質の発現であるといえる。すべてのデータがそろっているわけではないが、研究が終わっている要素もいくつかある。
 臆病さ、危険の回避、順応性、感受性、決断力、活力、柔軟性、社会性、活動レベル、衝動性、などである。」
 ―そんなわけで皆さん、安心してください。或いはあきらめましょう(笑)。自分の子供に「どうしてこうなんだろう。経験によって変えてやりたい。言って聞かせてやりたい。」と思ったところで、変わらないんですって!だから必死にならなくても良いんですねぇ。
 だから子供が自分とは違う、自分の気に入らない部分があったとしても、そういう部分を改めようと躍起にならなくて良いということだそうだ(もちろん躾という点では別ですよ)。もし改めようと頑張ると、子供は自己否定を始めるだろう。そしてどんなに頑張っても変えられない自分に自信をなくすだろう。そうなる前に、子供の感情、性格、ひっくるめて認めてあげなくちゃーってことなんですね。
 心理学の本は、なるべく読みやすい物を選ぶようにしている。心がけているのは、同じ作者に偏らないことだ。どんな素晴らしい人でも自分の感情が入ってしまう。特にこういう類の本は、本人の信念が行間からにじみ出ている。なので、色々な人の書いている物を読むようにしている。その中で芯になる部分を見つけ出す。不思議とそこは共通する。つまり、それが人の心のメカニズムだ。子育てに関しても、本を読み始めたことに関しても、まだ初心者にも及ばない私としては、その芯になる部分を、よりうまく表現している人の文に注目し、紹介していきたい。