結婚した当初、もう一つ夢中になったゲームが「ダービースタリオン」であった。
 牝馬が最初に一頭、設定されており、そこからゲーム上のお金で種牡馬の種付けをする。そして子馬が生まれ競走馬を育てていく。競走馬を育てるまでの平和な牧場での時間もなかなか穏やかで良いし、その間少しずつトレーニングを組み立てていき、そのトレーニングや馬の性格によって出られるレースやレース展開が変わっていく。その馬がまた子供を産んだり、賞金でもっと良い種牡馬の種付けをしたりと、少しずつ強い馬が出てきて段々とG1レースや海外レースにも進出していく。このゲームのおかげで(?)、私は知らなくても困らないはずの競馬のファンファーレとかレースの名前とか、そのレースの特徴、名馬、騎手などを知ることになる。実際の競馬なんて、お楽しみ程度に今までの人生で数回、100円ずつ使ったくらいである。それなのに、なんだかレースの名前とか知っている。
 「ダービースタリオン」は、私を廃人にすることも、めまいにすることもなかった。キリがつきやすいし、ちょっと夢中になる時間があっても、肝心のレース中は何も操作できないから、ちょこちょこと家事が進んでしまうのだ。しかしテレビの前に戻ってきたと思ったら、レース中に骨折していたとを知らされることも。そんな時は悲しかった。それでも、私の大好きなゲームの一つである。色々な馬を見てその特徴を知るのは楽しかった。
 それからも、夫が買ってきたゲームをちょこちょこすることはあったけど、ハマってしまうほどのものはなかった。「パラッパラッパー」や「ダンスダンスレボリューション」で少し遊んだ程度かな。一度、車のレースもので遊んだ時には、実際の車の運転が怖くなってしまい、夫もそんなようなことを言って、二人ともあっさりやめた。
 そして、子供ができ、ゲームどころではなくなった。
 が。息子が幼い頃にwiiが出た。
 私にとって、wiiは画期的なゲームに思えた。リモコンで画面を操作するだけでなく、リモコンの揺れや体重移動など微妙な操作が画面に伝わること。皆で一緒に楽しめること。私のゲームに対する考え方を変えられた。これなら家族で楽しめる。とは言え、子供はまだ幼いしとか考えていた頃、幼稚園年長の息子が、「とびひ」になってしまった。かなり重くて、医者に「一か月は幼稚園に行ってはダメ」と言われた。皮膚がひどい状態だったが、息子はかなり元気だった。外に出てなるべく人と接しないようにと、公園で遊ぶことも禁じられた。買い物に付いてくるくらいで、あまりテレビも観ないタイプの子だったし、私と遊ぶのも時間的にもエネルギー的にも限界があり、エネルギーを持て余し、夜も眠れないようで、とうとうwiiを買った。Wii fitwii sportsで、少しは体を使い、退屈もしのげて、とても役に立った。夫も私も楽しんで、家族であれこれ言ったり遊んだりできた。
 息子は、時々夢中でゲームに没頭することがあるが、それなりにキリをつけることに感心している。私が子供の頃ならこっそり親の目を盗んではゲームばかりして、廃人になること間違いなしである。息子とゲームとの距離感は、最初からそれほど心配していなかった。夫を信頼して、夫のゲームに対する距離感を見て大丈夫だろうと思っていたから、私と息子とで決めたルールと、夫のアドバイスがあれば大丈夫と思っていた。